
【頻出用語】ドンクベットについてポーカー始めたての初心者にも分かりやすく解説

CLOViZ株式会社最高執行責任者 | POKER Q'z開発責任者
1. ドンクベットとは?
「ドンクベット」とは、プリフロップ(フロップが開く前の段階)でレイズをした人“以外”のプレイヤーが、フロップ以降のラウンドで突然先制ベットをする行為のことを指します。


たとえば、ボタン(ディーラーボタン)にいるプレイヤーがプリフロップで [Ah] [Ks] でレイズをし、自分(ビッグブラインドなど)はコールにとどまったとしましょう。この場合、フロップが開いた後も本来はレイズをしたプレイヤーが主導権を握っていると見なされやすいのですが、その人より先に自分からベットを打つのが、いわゆるドンクベットです。
ポーカー用語である「ドンクベット(Donk Bet)」の「ドンク」には、英語のスラングで「間抜け(Donkey)」といった意味があります。
- なぜ「間抜け」と呼ばれるのか?
これは、ポーカーの“教科書的なプレイ”から外れていると見なされるためです。通常、プリフロップでレイズしたプレイヤーが持っている「主導権(イニシアチブ)」を尊重し、フロップ以降はまずそのプレイヤーのアクションを確認してから動くのが定石と考えられています。しかし、ドンクベットでは「レイズしていない側」が、相手の動きを待たずに先にベットしてしまう。
この行動を「自分の手を(無駄に)さらしてしまう間抜けな行為」と見なす風潮が昔からあり、“Donk Bet”という名で呼ばれています。
- 上級者にとっては必ずしも間抜けではない
ただし、この呼び名は本来「下手なプレイヤーのベット」を揶揄したものであり、上級者があえて行う“戦略的なドンクベット”まで否定するものではありません。先打ちすることで相手を威圧し、思惑通りの行動を誘導するといった高度なテクニックが存在するのも事実です。
- 相手に使う際は注意
ちなみに「Donk」という言葉自体が「間抜け」を指すスラングであるため、相手に直接「ドンクベットだね」などと言うと、失礼にあたる場合もある点には留意が必要です。
反対に、「プリフロップでレイズしたプレイヤーがフロップ以降も継続的にベットを行うこと」はCベット(コンティニュエーションベット)と呼ばれます。
2. ドンクベットが「下手」だと思われる理由
ポーカーの基本セオリーにおいては、「プリフロップでレイズしたプレイヤーがフロップ以降も主導権を握る」と考えるのが一般的です。そのため、レイザーに対してはまずチェックで回し、相手のアクションを見てから判断するのが“賢明”だとされています。
2-1. ヒットしなかった場合に損害を減らしやすい
プリフロップでレイズしたプレイヤーが持っている主導権を無視するような形で先制ベットを打つため、相手に「おや?なぜ先に打ってくるんだろう?」と警戒心を与えやすいです。上級者相手だと、この“違和感”を逆手に取られて、こちらのハンドを読まれてしまう可能性が高まります。
2-2. 強いハンドを持たれていたら逆に損をする
初心者がよくやりがちなのは、「フロップでトップペアになったから嬉しくて先にベットする」ケース。しかし、相手がプリフロップで[Qd] [Qc]や[Ah] [Kc] などの強力なペアを持っていた場合、一瞬でレイズを返されてポットが急拡大し、対応に困る展開になりがちです。
さらに、ドローが絡んでいる状況でも大きくレイズされてしまえば、降りるに降りられず、無駄にチップを失うことが多くなります。
2-3. ナッツ(最強ハンド)時にもポットを大きくできない可能性
仮に自分がナッツを完成させていたとしても、先にベットすると相手が「強そうだ」と警戒してフォールドしてしまうかもしれません。そうなると大きなポットが作れず、獲得できるチップが減ってしまいます。むしろチェックで“弱さ”を装い、相手にベットさせてからコール、もしくはターンやリバーでレイズするほうが利益を最大化できるケースが多いわけです。
3. 相手をけん制する効果も! ドンクベットが見直されている理由とは
一方で、近年のプレイスタイルの多様化やGTO(Game Theory Optimal)理論の普及により、ドンクベットがまったく無価値ではないと見直されることもあります。上級者が使う理由には、以下のようなものが挙げられます。
1. ボードを利用し、“こちらが強い役をそろえた”と思わせる
たとえば、低めのカードが並んだフロップであれば、自分のコールレンジに含まれるハンド(小さめのポケットペアやスーテッドコネクターなど)がヒットしていると相手に想起させる効果があります。そこで先に小さくベットすることで、相手にプレッシャーを与え、簡単にフォールドを引き出せる可能性が高まります。
2. ドローをなるべく安く引くための“プロテクション”
相手のベットを待っていると、結果的に大きいベットを打たれ、コールするコストがかさむこともあります。そこで先制ベット(ドンクベット)をしてしまえば、自分がコントロールしたいベットサイズを相手に“提案”できる形になるのです。いわゆるブロックベットのようなイメージで、相手をけん制するメリットが生まれます。
3. マルチウェイポットでの“チェック回し”を防ぐ
三人以上が参加しているシチュエーションで、もしフロップが開いた後に、全員がチェックで回してしまうと、相手に無償でドローを与えてしまうシチュエーションが発生します。そこでドンクベットをしておけば、相手がコールやレイズの選択を迫られ、タダでカードを見せないように誘導できるわけです。
4. まとめ:ドンクベットは勉強の後回し
ドンクベットの概要や、かつて「間抜け」と呼ばれていた理由、そして近年見直されつつある背景を一通りご紹介しました。
① 初心者のうちは使わないほうが良い理由
- チェックが賢明な場面が圧倒的に多い
先打ちするよりも相手のアクションを見てから動いたほうが、情報が増えミスが減る
- シンプルなセオリーを身につけるほうが上達の近道
基本は「プリフロップでレイズした人のコンティニュエーションベット(CB)を待って、そこに対応する」形が多くの状況にフィットする
- 余計なチップをロスするリスクが高い
強いハンドを持たれたり、複数人が絡むポットの場合、先にベットしてしまうと対応が困難
② 上級者のドンクベットは必ずしも“ドンク”ではない場面もある
相手を混乱させたり、ドローを安く引いたり、相手のチェック回しを防いだりと、明確な目的があるからこそ活きる
結論としては、初心者が何も考えずにドンクベットを多用するのは得策ではないでしょう。むしろ、本来は「レイザーにまずチェックして、相手の出方を見極めてからアクションを決める」ほうが安全かつ理にかなっています。
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