【トナメ勢必見】バックドアドローまで考慮したフロップの勝率概算方法
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【トナメ勢必見】バックドアドローまで考慮したフロップの勝率概算方法

としき
執筆者
としき

東京大学大学院情報理工学系研究科に所属。主にゲームAIや自然言語アルゴリズムの研究を専門とする鶴岡研究室にて活動。CLOViZ株式会社にてPOKER Q'zの開発もリード。

はじめに : ポーカートーナメントの勝率計算とは

ポーカートーナメントでプレイしていると、「この場面でオールインコールすべきか?」とか「ここでギリギリのコールが得なのか?」なんて悩むこと、ありませんか?特にスタックが浅く、フロップ時点で大きな決断を迫られる場面では、少しでも正確な勝率を知っておきたいところですよね。

そんなときに役立つのが、ポーカー界隈でよく知られる『2%4%の法則』。これを使えば、アウツ(あと何枚で自分の手が完成するか)さえ把握できていれば、ざっくりとした勝率が頭の中で素早く計算できてしまいます。

「2%4%の法則」は以下の通り:

ターン時点での勝率(残り1枚):アウツ数 × 2%

フロップ時点での勝率(残り2枚):アウツ数 × 4%

たとえば、フロップで8枚のアウツがあるなら、リバーまでに役を完成させる確率は約32%(8×4%)となります。非常にシンプルで覚えやすいですよね。

ところが、ここで一つの落とし穴があります。フロップ時点の勝率は、単純なアウツ計算では少し誤差が出やすいんです。なぜなら、この段階では「バックドアドロー」をはじめとする、ターンとリバー両方で引かなければ完成しない複雑な引き目も絡んでくるからです。

特にトーナメントでは、スタックが浅いとフロップ後にオールインを打たれ、あなたは「コールかフォールドか」の二択に迫られるシビアな場面が多発します。こういうときは、ちょっとした勝率の違いが期待値に大きく影響することも珍しくありません。

本記事では、そんな「バックドアドロー」まで考慮して、フロップ時点での勝率をもう一歩正確に見積もるための方法をご紹介します。これを身につければ、あなたのトーナメント戦略がワンランク上がること間違いなしです!


バックドアドローの確率計算方法

バックドアドローとは、簡単に言えば、「ターンとリバー、両方で必要なカードを引いて完成するドロー」のことです。たとえば、フロップでスート2枚しか揃っていないが、ターンとリバーで同スートが引ければフラッシュになる、なんてパターンですね。

計算の仕組みはちょっとややこしいかもしれませんが、ポイントだけ押さえておきましょう。

• 残りデッキは通常45枚(あなたの手札2枚+ボード3枚+相手ハンド2枚を除外)。

• ターンとリバーで引く2枚の組み合わせは45×44÷2=990通り。

• 特定の2枚を引ける確率は、1/990(約0.1%)です。

たとえば、あなたが[Kd][Qs]を持っていて、ボードが[As][7h][2d]で、JとTが揃えばバックドアストレートが完成するとしましょう。

Jは4枚、Tも4枚あるため、JとTを両方引く組み合わせは4×4=16通りです。

よって16×0.1%=約1.6%が理論値ですが、相手が必要カードを持っている可能性も考慮すると、実際には約1.5%程度になると見積もるのが妥当です。

このように、バックドアドローはせいぜい数%程度の小さなエッジですが、トーナメント後半などシビアな局面では、この1.5%の差が明暗を分けることもあるんです。


フロップ勝率をざっくり計算する「実用ルール」

実戦でいちいち細かい確率を計算するのは大変ですよね。そこで、以下に示すのは、フロップ時点での勝率を「ざっくり」計算するための簡易ルールです。完璧ではありませんが、実戦では大いに役立ちます。

基本ルール

該当する条件があれば、その勝率分を加算する。

複数条件があれば全て足し算。ただし、当てはまりすぎると誤差が大きくなるので注意!

勝率要素一覧

ドロー

プラスする勝率

1 オーバーカード

+12%

ガットショットストレートドロー

+16%

バックドアフラッシュドロー

+4%

バックドアストレートドロー

+1.5%×組み合わせ数

1. 1 オーバーカード : +12%
(自分が相手のトップペアを上回る可能性のある高カード1枚)
※オーバーカードが複数あれば、その数×12%で加算

2. ガットショットストレートドロー : +16%
(内側ストレート完成待ち)

3. バックドアフラッシュドロー : +4%
(フロップに2枚同スート+自分の手札1枚同スートがある場合)

4. バックドアストレートドロー : +1.5%×組み合わせ数
(特定の2枚を連続して引ければストレート完成)

これらをうまく組み合わせれば、フロップでの勝率がおおまかに分かります。もちろん、強力なフラッシュドローやオープンエンドストレートドローなどは、この計算方法だと誤差が大きくなりますが、その場合はそもそもフォールドする必要が薄い状況が多いので、あまり問題にはなりません。


実例で比較してみよう

例1

あなた : [Ad][4d] vs 相手 : [Kc][Jh]

ボード : [Jc][5h][2d]

• 1オーバーカード(A) : +12%

• ガットショット(3を引くとストレート) : +16%

• バックドアフラッシュドロー(♦2枚) : +4%

合計:12% + 16% + 4% = 32%

実際の勝率は31.21%なのでほぼドンピシャです!

例2

あなた : [Kh][8s] vs 相手 : [As][Qs]

ボード : [Qh][9d][6h]

・相手のQヒットに対する1オーバーカード(K) : +12%

• バックドアフラッシュドロー(♥2枚) : +4%

• バックドアストレートドロー(J,TとT,7と7,5の3パターン) : +1.5%×3=4.5%

合計:12% + 4% + 4.5% = 20.5%

実際の勝率は20.87%と、これまた非常に近い値になっています。


まとめ

トーナメント中、フロップでの判断はスピードと精度が求められます。今回紹介した方法を身につけることで、あなたは「この状況、コールしたらどのくらい勝てるかな?」といった疑問に即座に答えられるようになるはずです。

もちろん、これらはあくまで近似値であり、完璧な計算方法ではありません。でも、5秒以内に意思決定を迫られる実戦の現場では、この「ザックリ計算」が大いに役立ちます。さらに、ポットオッズや期待値と組み合わせれば、より賢い選択が可能になるでしょう。

小さな積み重ねが、長いトーナメントを通して大きなEV(期待値)の差となって現れます。是非、この計算法を自分のプレイに取り入れて、次のトーナメントで「ここはコール!」と胸を張って決断してみてください。きっと、その一歩があなたをより強いプレイヤーへと成長させてくれるはずです。

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会社概要

名称    : CLOViZ株式会社

所在地   : 東京都世田谷区赤堤4丁目13番7号

設立    : 2024年5月7日

代表取締役 : 真崎 颯太郎

URL    : https://cloviz.co.jp