POKER Q’z開発者が語る「トナメの極意」ー新機能トナメ編のイチオシポイントと制作秘話
コラム
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POKER Q’z開発者が語る「トナメの極意」ー新機能トナメ編のイチオシポイントと制作秘話

Shuhei
執筆者
Shuhei

東京大学教養学部理科二類所属。大学に入りポーカーに出会い勉強を始める。CLOViZ株式会社ライターとして執筆。

こんにちは!CLOViZ株式会社のShuheiです!

2025年11月、ポーカー学習アプリPOKER Q'zに待望の新機能トーナメント編がリリースされました。
今までのリングゲーム編に加え、ICMや少ないスタックでの立ち回りなど、トーナメントならではの技術を学ぶことができるようになりました。

そこで、本記事ではPOKER Q'z開発者である、大端俊輝さんと阿部颯柊さんに直接インタビューを行いました。
トーナメントの極意とはどんなものか。どうすればポーカーが強くなるのか。
"ポーカープレイヤーとして"も語ってもらいました。

また、どんな思いでアプリを制作したか。強くなるためのアプリの使い方とはどんなものか。
開発者独自の視点で語ってもらいました。
開発者だからこそ語れる制作秘話も織り込んでありますので、ぜひ最後までお読みください。

POKER Q'z開発者の"ポーカープレイヤーとして"の顔

ーーまずはお二人とも自己紹介をお願いします。

大端さん
大端俊輝です。東京大学大学院 情報理工学系研究科の修士学生です。ゲームAI・自然言語処理の研究を行う研究室に在籍していて、現在は事業に専念するため休学中です。

https://pokerqz.com/ja/blog/interview01

阿部さん
阿部颯柊です。今は東京大学農学部の3年生です。座学と実戦の両面からポーカーを徹底的に研究し、トーナメント・リングゲームを問わず日々ポーカーに没頭してきました。

ーーお二人はこのPOKER Q'zに関して、どんな仕事をされていますか?

阿部さん
ポーカーの研究をしながら、それをもとにアプリのコンテンツの内容を決定しています。
どんなハンドを取り上げてどんな教訓を教えればユーザーの方が強くなれるかを考えています。

大端さん
コンテンツの内容にも一部携わっていますが、主には開発の方を担当しています。
クイズ・レッスンの実装や、GTOの戦略の計算のプログラムなどを書いています。

ーー現時点でアプリPOKER Q'zのレッスンは大まかにどのようなものになっていますか?

阿部さん
ポーカーはまず大まかにリングゲームとトーナメントに分けられますが、Lv.0~2のレッスンでは両者に共通する基礎的なものを勉強できます。
Lv.3以上では両者が分かれていて、もともとあったリングゲーム編ではGTOなどのポーカーの本質的な部分を勉強でき、トーナメント編ではトーナメント独特なICMなどの考えについて重点的に勉強できる内容になっています。

ーーありがとうございます。今回はその新機能であるトーナメント編にまつわるインタビューになっているのですが、本題に入る前に、お二人のポーカープレイヤーとしての経験として印象的だったトーナメントのエピソードなどはありますか?

阿部さん
初めてトーナメントに出た時の話なんですけど、そこでは店内で使えるポイントを上位数人がもらえるという形で、「入賞」というのが存在していて、70人くらい参加していたトーナメントで残り一人飛べば「入賞」というところまで行ったんですね。
そんな中自分は残り2bbしかないという状況で、なんとUTG8ポケが入ってしまったんですね。そこであえなく2bbのオールインをしてしまい、後ろのプレイヤーに9ポケキャッチされたんですね。

大端さん
最悪過ぎる(笑)

阿部さん
それで人生初ライブトーナメントでバブルを決めるという(笑)
しかもターンでお互いストレートドローができててアウツが逆転したんですよね。

大端さん
ということは6,7,Tがボードに落ちてたのか。

阿部さん
そうです。だから途中から8ポケの僕の方が「9!9!9!」って言ってて(笑)

大端さん
リバー8出た?

阿部さん
リバーは何もなかったです(笑) 

大端さん
8だったら伝説だったのに(笑)

ーーめちゃくちゃ面白いエピソードですね。しかもちょうどレッスンでもかなり扱っているバブルの話ですし(笑)次に大端さんは何かエピソードありますか?

大端さん
僕もしっかりと伝説の経験がありまして(笑)
その時はBB5ポケを持っていて、BTNオープンにBBでコールしたんですね。そしてフロップがなんと3,3,5で、フルハウス完成したんですよ。
しかも相手が超アグレッシブなプレイヤーで、なんとフロップでオールインになりました。開いてみたら相手のハンドは64sでした。セットフルvsオープンエンドなんて勝ち確じゃないですか。
そしたら、ターンが3で、リバーも3だったんですよ!

一同: 
(爆笑)

大端さん
こっちはボードで、相手の6ハイに負けたんですよ(笑)

ーーやばすぎますね(笑)

大端さん
人生最悪のありえないバッドビートでした(笑)

トナメはプリフロが9割

ーーお二人の非常に面白いトナメエピソードが聞けたところで、いよいよアプリについてお聞きしたいと思います。まず今回新装されたトナメ編のポイントは、どういうものがありますか?

阿部さん
通常のリングゲームとの違いがやはり大事で、そういった意味で大きく2つポイントがあります。
まずトーナメントは「レーキがなくて、アンティがある」んですね。だからプリフロップのレンジが大きく変わります。しかも「状況に応じた色んなレンジ」で戦わないといけないので、リングゲームに比べてプリフロップが遥かに複雑になってしまうんですよね。
そしてもう一つは、トーナメントは単純にチップ量を増やすのが目的ではなくて、順位を目指すゲームなんですよね。だからチップ量だけで考えるとコールが得でも、「賞金をもらえるかもらえないか」を考えたらコールが損になるケースとかが発生します。例えばバブル付近だとチップをたくさん持っているプレイヤーはアグレッシブに攻めて、あまり持っていないプレイヤーは「飛ばないように」我慢しながら戦うみたいな、リングゲームでは見られない構造になることがあります。

ーー確かに「レーキとアンティ」とか「入賞」という概念がリングゲームにはない概念で、それが戦略の違いになりますね。

阿部さん
そうですね。そしてトーナメントというゲームは、プリフロップの比重が非常に高いゲームなんですね。
本当に、トナメはプリフロが9割だと思います。
例えば最初のブラインド100-200とかのときに大きいオールインを制したとしても、そこで得たチップは後半のブラインドになれば1bb分でしかなくなっていたりして、最初に頑張って得たチップを後半のちょっとしたプリフロップのミスで放出してしまうことがあるのがトーナメントです。

ーーブラインドがどんどん上がっていくトーナメントだからこそ起こることですね。

阿部さん
はい。だからプリフロップの精度が非常に大切になります。
しかも、後半で残り10bbとかになってしまうと全然ポストフロップに進まないことも多いですよね。そしてプリフロの10bbのオールインコールを少しでも間違ったらもうチップ全部失って終わりなので、本当にプリフロのミスは罪が重いんですよね。

ーー確かにそうですね。

阿部さん
こういった点をまとめて、簡易化してお伝えしているのが今回新装されたトーナメント編のレッスンになっています。

ーー次にお聞きしたいことなのですが、トーナメント編のレッスンの中で、制作者ご自身としてイチ推しのレッスンなどはありますか?

阿部さん
そうですね、自分的にはICMの説明で、自分の持っているチップ量ともらえる賞金は違うということの例がかなりうまくできたなと思います。
プライズ総額100ドルで優勝賞金が60ドルのトーナメントで、チップ総額が100点で1位の人が70点持っている状況を例に出しました。この時、この1位の人の70点は70ドルにはならないんですよね。100点全て取り切ってやっと60ドルになるので、この70点は60ドル未満の価値しかないんですよ。

ーー確かにこれはICMの分かりやすい例になってますね。

阿部さん
チップ1点の価値がどれくらいなのかっていうのは結構難しくて、今回の例だと100点中70点持っていても優勝賞金が100ドルのうち60ドルだから、70ドルの価値にはならないというのがポイントで、だからある意味チップを多く持っている方が損になるんですよね。逆に最下位が10ドルもらえるとして、今10点しか持っていなくても、それが0点になっても10ドルはもらえるわけだからその10点は10ドルより価値が高いことになります。

大端さん
これってチップが積みあがっていくイメージで考えると分かりやすくて、土台となる下の方のチップは価値が高くて、上の方に積み重ねられたチップは価値が低いんですよね。

ーーなるほど。

大端さん
少し難しくなりますが、これでバブルファクターについても説明できます。スタックがショート側は山の下の方の価値が高いチップだけを持たされているのに対し、ディープ側は山の上の方の価値が低いチップで勝負できるんですよね。だからショート側は苦しい戦いを強いられることになります。

阿部さん
一般によく「ショートは不利」と言いますけど、まあ確かに不利ではあるんですけど、それは少しのチップだけで頑張って生き残ってきた価値が大事だからたくさん降りないといけないということなんですよね。

ーーたとえ2bbとかでも粘って入賞するのが大事ですもんね。

阿部さん
本当にそうです。だからそのための基本的な戦略を勉強して、賞金期待値的に得な判断がしっかりできるようになるのがこのレッスンでやりたいことになります。
皆さんのトーナメントの成績が向上すればいいなという想いでこのレッスンを作りました。

GTO Wizardは辞書、POKER Q'zは教科書

ーー阿部さんはこんなに素晴らしいレッスンを作られていますが、阿部さん自身はどのようにその勉強をしてきたのですか?

阿部さん
ひたすらGTO Wizardを回して徹底的に勉強しました。
バブルファクターとかも、表を見ながら「あ、二人にかかってるんだ」とかって勉強していった感じで。
特にその中で意外だったことがあって紹介したいんですけど、まず直感的には3bbで飛ぶよりも10bbで飛ぶ方が罪が重そうじゃないですか。

ーーそんな気がします。

阿部さん
でも、本当は逆で、10bbの人よりも3bbの人の方がバブルファクターが重いんですよ。つまりオールインを受けた時に10bbの人の方がコールしやすいんですよ。

大端さん
これはコールしたときに、10bbの人は20bb強になって、賞金期待値が一気に上がるからなんですよね。逆に3bbの人はコールして勝っても6bb強にしかならないので恩恵が少ないんですよね。

阿部さん
だから僕も昔は、まだ10bbある時は強い手もフォールドして、逆に3bbしかない時は仕方なくオールインとかしてたんですけど、逆だったんですね。

ーーつまり10bbでも3bbでもオールインに負けたら0になって飛ぶだけだけど、コールしてダブルアップしたときに、10bbの人の方が賞金期待値が急上昇するということですよね。

大端さん
そうですね。本当にこれは勘違いしている人が多いような気がするので、ぜひ学んでほしいなと思います。

阿部さん
こういう風にひたすらGTO Wizardとにらめっこして状況ごとの共通点を探して言語化するという作業をしてきました。

大端さん
いやー本当に天才だね。
阿部くんは、GTO Wizardの無限に広がる解釈の難しいソリューションから、特徴的な要素を抽出して凝縮したエッセンスをレッスンにしてくれてるんですよね。

阿部さん
僕がみなさんにお伝えしたいのは、「GTO Wizardは辞書で、POKER Q'zは教科書だ」ということです。GTO Wizardは広辞苑みたいな分厚い辞書で、それだけみてもあんまり分からないんですよ。
だから例えば「バブルファクターを勉強してみたい」と思って分厚い辞書を開いても、全然無理なんですよね。でもそこからエッセンスを抽出した教科書なら、自然に勉強していけるんですよ。

大端さん
GTO Wizardは辞書、POKER Q'zは教科書」って良いキャッチコピーだな(笑)

ーーめっちゃ良いですね(笑)

阿部さん
GTO Wizardを使って新たな知見を探しに行くことは非常に大事だと思うんですけど、教科書も分からない人がいきなり辞書を見にいくと、本当に何も分からなくなってしまうことも多いのであまりおすすめしないですね。
あと特定のハンドに対する考察で終わってしまうみたいな本当に意味のないことになってしまうことも多いと思うので。

大端さん
「コール頻度あった!やったー合ってた!」みたいに一喜一憂するのって、GTOツールの世界一無意味な使い方なんですよね(笑)

ーー本当にそれ意味ないですよね(笑)

阿部さん
あと例えばBTNが全てのレンジでプッシュしてるからKToとかでコールできるみたいなシチュエーションがあったとしても、実際の相手はそんなにプッシュしてなくてAxとかが多く含まれているみたいなこと全然あると思うんですよね。そういう時にKToでコールするのはめちゃくちゃマイナスになってしまうんですよね。

大端さん
だからGTO Wizardを使うときは、必ずGTOの相手戦略と実際の相手戦略を比較検討する必要があるってことですね。

阿部さん
でもそんなことできるプレイヤーなんてかなり限られているのでね。だからPOKER Q'zで勉強してからGTO Wizardなどのソリューションを見て欲しいと思います。
POKER Q'zのレッスンを学ぶことでソリューションを使いこなせるようになります。

インプットとアウトプットが交互にできる

阿部さん
もうひとつPOKER Q'zのポイントとして「自分でポーカーしてる感」が味わえることも大きいと思います。
僕はプレイヤーが間違えそうな問題を抽出して実践クイズにしているので、しっかり自分事として考えることができると思います。
また対話形式になっていて、自分に問いかけられながら進んでいき、また実践クイズを解いて成長を確認できるので、能動的に学んでいけるコンテンツになっていると思います。

大端さん
つまりPOKER Q'zって、インプットとアウトプットが交互にできるような設計になっているんですよね。
普通の勉強だとインプットがメインになってしまい、アウトプットの場があまりないという状況に陥りがちだと思うんですけど、それらはPOKER Q'zの中で完結しているんですよね。

ーー確かにPOKER Q'zって、例えば最初にQちゃんが間違ったプレイをして、アリアがそれを指摘して解説をして、練習問題を解いて、実践クイズを解いて...という流れになっていますもんね。

阿部さん
しかもこれらが細切れになって章立てされているので、隙間時間で少しずつできるのも特徴ですね。

大端さん
確かに、このインプットとアウトプットができるというのと、隙間時間でできるというのはPOKER Q'zのポイントだね。

ーーそうですね。次なんですけど、今までの話大変面白かったので、もうひとつ何か小話とかあればぜひお聞きしたいのですが……。

阿部さん
じゃあひとつトリッキーなシチュエーションの話をします(笑)
6人卓で自分はBBに座っていて、BBが一番ショートで次にUTGがショート、間にディープがたくさんいるという状況の話なんですけど、このときUTGの2bbオープンにBBは全然コールできないんですよね。
つまり、UTGも後ろにディープが控えているからオープンレンジを狭めていて、自分は更にUTGよりショートだからレンジを狭めないといけないので、凄く狭いレンジでしかコールできないんです。

大端さん
二重に狭くなる要因があるんだね。

阿部さん
だからただの2bbオープンなのに、T7sとかKToとかフォールドしてて、あり得ないくらい狭くて。ほとんどオールインかフォールドという感じでした。
これ発見したときは社内で「ふざけんなよ!」って言ってましたね(笑)

大端さん
でも阿部くんは「ふざけんなよ!」から二重に狭くなる要因があるということを発見したのが凄いよね。

阿部さん
こういうのはレッスンを作るうえでの苦悩ですね……。

大端さん
繰り返しになってしまいますけど、複雑なソリューションからエッセンスを抽出してレッスンにまとめたというのが、本当に大きな価値があると思います。
そしてこの部分は不確定情報ゲームならではだと思うんですけど、「定跡」と呼べるような指針がかなり掴みにくいんですよね。POKER Q'zはそんな中でも、それに近い"指針"を提示できていると思います。

阿部さん
基本的な戦略はかなり教えられていると思います。逆にもっと言えば、この基本戦略をもとに、相手を観察して相手に応じた戦略がとれるようになるとよりポーカーが上達していけると思います。そのための羅針盤になるのがPOKER Q'zになるかなと思います。

最後に ~トナメで意識するべきたった1つのこと~ 

ーー最後に、読者のみなさまに一つだけトナメで意識した方がいいポイントを教えて頂きたいです。

阿部さん
やっぱり「トナメはプリフロが9割」かな(笑)
トナメ後半のオールインコールを少しミスるだけで今までの努力が全て水の泡だし、ちょっとしたプリフロのミスが序盤のミスと比べて文字通り桁が違うので、本当にプリフロが大事です。しかもそういったトナメ後半はバブルファクターも働いていて非常に難しいです。こういったプリフロのミスを一つでも減らすだけでみなさんのトナメ成績は爆上がりします。
プリフロップさえ合っていれば正直そんなに酷いことにはならないです。本当にプリフロップの上手さとポーカーの実力は強い相関があると思います。
もうポストフロップなんて適当にやっていい、全部チェックでもいい(笑)

大端さん
それはだめ(笑)

阿部さん
って言いたいくらいプリフロの大切さを熱弁したいですね(笑)

大端さん
今回新装されたトナメ編はプリフロップが中心になっていますが、ポストフロップについてはリングゲーム編で詳しく扱っていますね。

阿部さん
そうですね。リングゲーム編でもトーナメントに役立つ知識はたくさんあります。フロップのボードごとのCBの戦略など、そのままトーナメントで活かせる内容ばかりなのでそちらもぜひ勉強してみて欲しいですね。
けど、まずはとにかくプリフロップが大事です。

ーートナメ編でトーナメントならではのプリフロの勉強をして、リングゲーム編でどちらにも通ずるポストフロップの戦略などを学んでいただくという形ですね。

大端さん
それがいいと思います。ぜひこの機にどちらも登録していただけると嬉しいです。

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会社概要

名称    : CLOViZ株式会社

所在地   : 東京都世田谷区赤堤4丁目13番7号

設立    : 2024年5月7日

代表取締役 : 真崎 颯太郎

URL    : https://cloviz.co.jp