POKER Q'z ブログ

ポーカーの学習に役立つ情報や戦略やテクニック、最新情報をお届けします

コラム

「POKER Q'z」大幅アップデートで搭載された新機能とは!?コラム

「POKER Q'z」大幅アップデートで搭載された新機能とは!?

2025年7月8日、サクッと学べるポーカーアプリ「POKER Q'z」が大幅にアップデートされました!本記事では、今回の大幅アップデートで導入された様々な魅力的な機能をご紹介していきます。新機能も含めて、最大限に「POKER Q'z」を使いこなしていきましょう!①基礎から学べるレッスンモード新設レッスンモードでは、ルールや基礎的な考え方から上級な戦術まで様々なことを学ぶことができます。上級までのロードマップに沿って、レッスンと練習問題を交互に解くことで理論を身につけることができます。②10万問超えの実践問題10万問以上の実践的な問題も用意しているため、超効率的にハンドのアクション選択と振り返り行うことができます。回答を誤った時も解説がされるので、しっかりと理解を深めることができます。③個別におすすめ問題を提案レッスンや実践問題で間違いやすいシチュエーションや問題は記録され、個別に最適な問題や類題がおすすめされます。これにより、自分の弱点に合わせた学習を進めることができます。④あなたのポーカータイプ/スキル判別あなたのプレイヤータイプや、どれくらいバランスの取れたアクションをしているのかが分析されます。アクションに関する全体の傾向も分析され、戦略に関する提案もされます。(こちらは7/15にアップデート)それでは、実際のプレイ画面とともに現在の「Poker Q'z」を見ていきましょう!各ユーザーレベルに合わせた学習カリキュラム初心者から上級者まで、自分のレベルに合った内容で効率よくステップアップ!自分にぴったりのカリキュラムで、無理なく実力を伸ばせます。初心者の方でも楽しく学べるように、レッスン→練習問題(クイズ)に挑戦→関連実践問題に挑戦→章ごとに総合問題に挑戦→次のレッスンという形になっております。インプットとアウトプットを交互に行うことで、効率的にポーカーの知識とスキルを身につけましょう!レッスンでは、先生役のアリアと生徒役のQちゃんの会話により様々なポーカーの概念や戦略を分かりやすく説明されています。Qちゃんと一緒に一歩一歩着実に学習を進めていくことができます。「役を覚えよう」などの超基礎から学べるレッスンですが、最後にはクイズに挑戦できます。「ルールはわかっているが、学習はしたことがない」という方も、基本戦術からインプットとアウトプットを繰り返しながら学ぶことができます。独自のカリキュラムとクイズを用意し、段階的にポーカーが強くなっていく考え方を身につけていきます。アクションを答えるだけではなく、どういう意図でアクションをしていくべきかという概念も理解していくことができます。100万以上のシチュエーションから、10万問以上の学習に役立つ問題を抽出し、実践で役立つクイズを用意しています。実践であれば、振り返りたいと思うアクションは1時間に1回あれば良い方ですが、「POKER Q’z」であれば超効率的に学習に役立つシチュエーションを学び、振り返ることができます!すべての問題が分かりやすい解説文付き全問題に丁寧な解説付き!ただ正解を知るだけでなく、「なぜそのプレイが正しいのか」までしっかり理解できます。現在の状況やハンドのエクイティ、それぞれのアクションをとる考え方まで、必要な情報が揃っております!アプリ内のAIにポーカーの質問が出来るプレイ中の疑問をすぐに解決!AIに質問するだけで、その場で戦略や判断の理由をわかりやすく教えてくれます!友達に聞くかのように気軽にAIにご質問ください!問題の解説中にも簡単にAIに聞いて疑問を解決できます!分からない部分があったらAIに聞いて着実に理解を深めましょう!あなたのプレイスタイルを分析魚タイプ(ルースパッシブ)・虎タイプ(ルースアグレッシブ)・亀タイプ(タイトパッシブ)・鷹タイプ(タイトアグレッシブ)のタイプに分けられ、プレイヤータイプが分析されます。実践クイズを解くことで簡単にあなたのプレイスタイルが分かります!あなたのアクションの正解率と、GTOに基づくアクションバランスの観点から、バランススコアが表示されます。こちらはPOKER Q’zが独自に作成した指標となっており、自分の実力を簡単に見ることができます!あなたのプレイスタイルに応じて、プレイ全体に関わる改善提案や、具体的な戦略の提案を行います。自分がどのように学習を進めていくべきかの参考にしてください!簡易レンジ表でプリフロップを攻略手元にいつでも使えるレンジ表!迷いやすいプリフロップの判断も、最適なプレイがすぐにわかります。こちらはPOKER Q'zで考えた独自のレンジ表であり、ポーカー有識者からの監修をもとに作成しています。この表ひとつでオープンだけでなく、3betやvs3betまで対応できます!自分に合った問題皆さまのレベルや進捗にあった問題を出題いたします。「何を勉強したらいいか分からない」という方も、気軽に問題を解いて勉強ができます!一方、自分がやりたい問題を解きたいという方も、自分好みの設定にカスタマイズして、厳選された問題に挑戦できます。「基本問題から練習したい」「苦手なポジションやストリートを練習したい」という方はそこだけ重点的にも練習できます。繰り返し問題を解いて解説を見ることで効率的に学習を進めましょう!プレイ履歴から間違えた問題を振り返ることができます。復習を重ねながら学習をしていくことができます!ポーカーにまつわる様々な記事ポーカーにまつわる用語や知識など様々な記事を読むことができます。より詳しい解説や面白い話などもたくさん含まれますのでぜひお読みください!トッププレイヤーへのインタビュー記事や、ポーカーの理論を分かりやすく解説した記事など、幅広い記事を読むことができます!様々な便利ツールやミニゲーム「Poker Q'z」には様々な便利ツールやミニゲームが搭載されています。自分が調べたい状況での「エクイティ」「オッズ」「MDF」などを計算できます。気になったタイミングですぐに調べることができます!ポーカーにまつわる単語の用語集になっています。重要度別にもなっていて、学習レベルに応じて様々な単語を知ることができます。気になった単語などがあれば気軽に調べて知識を付けていくことができます!ビデオポーカーやブラックジャックで遊ぶこともできます。気分転換などにぜひこちらもお使いください!まとめ今回2025年7月8日の大幅アップデートで様々な新機能が追加されました。「POKER Q’z」は皆さまひとりひとりの弱点や疑問点に寄り添い、効率的な学習をサポートするアプリとなっております。ぜひ「POKER Q’z」を使ってポーカー強くなりましょう!

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"好き"を仕事に選んだ女性プレイヤーの軌跡:勉強法とポーカーへの思いコラム

"好き"を仕事に選んだ女性プレイヤーの軌跡:勉強法とポーカーへの思い

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!今回は、海外のトーナメントでも活躍し、ポーカーにまつわるインフルエンス活動にも力を入れている女性ポーカープレイヤーあおさんにお越しいただきました!ポーカーを仕事に選んだ経緯や座学の方法、冷静沈着な思考の裏にある天衣無縫のポーカー愛などについて、たくさんお話しいただきました!1. ”好き”を仕事に選んだ女性プレイヤー――まずは自己紹介をお願いします!あおさん:あおと申します。現在24歳でお仕事は web系のフリーランスをしております。ポーカー歴は約3年半で、たまたま友達と一緒に出会って始めましたが、今は 国内外のトーナメント にたくさん参加しています。主な実績で言うと、去年のWSOPの時のシーザーズパレスのデイリートーナメントで優勝したのとか、APTマニラ準優勝とかですかね。――ポーカーを始めたきっかけを詳しくお聞かせください!あおさん:きっかけは、本当に友達にたまたま アミューズメントポーカーに連れて行ってもらったことです。元々 ボードゲームとか人狼 とかそういうものが好きなタイプだったので、まぁ ポーカーも面白いんじゃないかな?と思い行きました。リングゲームの時はそんなにはまらなかったんですけど、 2回目くらいに行った時に トーナメントにポンと出てみたら、すっごい勝ったんですね。30人ぐらいのトーナメントなのに準優勝ぐらいまでして、なんか自分はポーカーがうまいなと勝手に勘違いして楽しくなって完全にはまりました。――続いてですが、現在インフルエンス活動をしていると思いますけど、知名度があがったきっかけは何でしたか?あおさん:ABEMAのQueen Of Pokerがきっかけだったと思います。――なるほど、私も見てました笑。その頃の心境はどうでしたか?あおさん:もともとしていたwebの仕事の方と関わっているんですけど、私 19歳くらいからwebのフリーランスの仕事をしていて、法人になってもう4年目とかなんですね。一時期は結構な規模でやってたんですけど、そっちにちょっと虚無感を覚え始めたと言いますか、完全に一人で目標もない状態でスタートしてしまったので、事業的には多分うまくいってたんですけど、なんかこの先に何があるんだろう?みたいな気分になってきてしまってたんですね。その時は、ポーカーは完全に趣味でやっていたのですが、仕事への考え方を変えようと思いまして、”好き”を仕事にしたいと思ったんですね。そうなった時にポーカーをお仕事にしたいと思いました。ポーカーを仕事にするために何ができるか考えたときに、プロとしてキャッシュゲームをするとかも選択肢としてあったんですけど、トーナメントが好きなのと、ポーカーをもっと広めるような活動をしたいと思い、じゃあ「表に出た方がいい」となって、インフルエンス活動を自分の中でも強化しました。その時にちょうどQueen Of Pokerのオファーをいただいて、出させてもらえて、そこからポーカーの実力とかを評価してくださって、メディアにも呼んでもらえることが増えてきたと思います。――有名になったことで周囲の反応はどう変わりましたかあおさん:めっちゃブラフが通らなくなりました笑。前は見た目もあって結構通っていて、それも利用できていたんですけどね。――それもしっかり実力が評価されているということですよねあおさん:そうですね。だから嬉しいことですね。2. 3年間で有名プレイヤーのコーチングを30回以上受講――ポーカーを始めた最初の頃のプレイ中の思考はどのような感じでしたか?あおさん:最初は適性があると思ってポーカーを始めたのに、3回目とかのトーナメントとかではめっちゃ負けるわけですよ。それはそうなんですけど、まあ自分的にはショックなわけですね、上手いと思っていたのでね。そこで、きっと何かがいけないんだろうと思って、ポーカーの動画とかを見始めました。ただ、最初はとにかくアグレッションが高くて、もうなんか「おろした方が得やん」ってずっと思ってたんですね。あとはいろんなことをちょっとでも実践しないと気が済まなくて、全部5betオールインしたら降りるんじゃないか、とかやってました笑。――あおさんからそれされたらQQまで降りたいですね笑。あおさん:そうですよね!QQまで降ろせたらめっちゃお得じゃないですか笑。――確かに自分の印象も活かせていますよね。あおさん:そうなんですよね。ただ、それを1日に2回も3回もやるので、当然捕まるわけですよ。それで、「なんで捕まるんだろう?」とか、「もっといいハンドセレクションがあるんじゃないか」とか思うんですね。そういうのを、自分の中で試してトーナメントに出てみるみたいなことをずっとやっていました。でも、やっぱりそれでも下手すぎたので、コーチングをお願いするようになったんです。コーチングは、私の知ってるプレイヤーの8割くらいはだいたい1回は受けたことあります。――そうなんですか?3年間の間に。あおさん:はい、いっぱい受けましたね。Souzirouさんもみさわさんも、euroさんとかも。やっぱりコーチングのいいところって自分が疑問に思っているところを聞けることだと思うんですよね。――コーチングにも色々な形態があると思うのですが、どのようなものが特に良かったですか?あおさん:そうですね、みさわさんのコーチングが特に好きで、30回は受けたと思うんですけど。――30回も!すごいですね!あおさん:めちゃくちゃ受けてます、3年間で笑。進め方としては、一番最初のハンドから聞くことが多い気がします。みさわさんのコーチングのいいところって、ワンストリートのハンドに対して抜けている概念とかを教えてくれるんですね。当然プレイする時って、自分的には「これが正解だ」と思ってプレイしてるわけなので、理由があるわけじゃないですか。その理由を「こう思ったのでこうしました」という風に話すと、「それは間違っている」と言ってくださるんですね。それではどこが間違っているのか、例えばエクイティの見積もり相手のレンジこの後のストリートポットの計算アウツの計算インプライドオッズなど色々あると思うんですけど、例えばインプライドオッズが間違っているとしたら、「じゃあインプライドオッズって何だろう?」といって講義に入っていくことが多いですね。これが一番好きなタイプのコーチング かもしれないです。でもどのタイプも受けたことありますね、講義形式も実戦形式も。――では、はじめの頃から負けるのは運によるものというよりあくまで自分の実力不足だと考えていたのですか?あおさん:そうですね。私の中で結構信念があって、運の要素って議論しても仕方ないじゃないですか。その時ベストなプレーをしたかどうかが大事なわけなので。初心者なので1回1回の結果をですごい重く見てしまうんですけど、コールしたら負けてたとかみたいな。でもその1ハンドに対してはミスなんですよ、完全な。思ってもいないハンドが出てきたりとか普通に降りれなかったりとか、ブラフが捕まったりとか。そういうのは普通に自分のミスだと思ってましたね。――確かにそういう考えをもともとお持ちの方は、「座学した方がいい」とすぐ思えそうですね。3. じゃんけんで「ピン」を出し続けていた:GTOの勉強について――ポーカーの勉強は大きく分けて均衡理解とエクスプロイトに分けられると思うんですけど、どういうバランスで勉強をしてきましたか?あおさん:それで言うと圧倒的に均衡理解の方をしていますね。エクスプロイトそんなに得意じゃないし。うまくもないと思っています。――そうなんですね。それはなぜですか?あおさん:難しいんですけど、ポーカー というゲームを、私は真剣に楽しみたいんですね。そして均衡理解の勉強が私好きなんです。上手くなるために勉強しているというよりは、ただ均衡を知るのが好きだから勉強している気がします。――「均衡を理解する」ということを目的にして頑張ることに楽しさを感じるんですねあおさん:そうですね。あと、GTOの例えですごい刺さっているのがあって。GTOってじゃんけんでグーチョキパーを均等に出そうみたいな話じゃないですか。それに対して、「あおちゃんはピンをずっと出してる」と言われたことがあって。「ピン」という4つ目のコマンドが存在したとして。――「ピン」はどういう勝敗なんですか?あおさん:「パーに勝てるけど、あいこだと負け」ですね。完全に出すだけ期待値マイナスです。だからまずは「グーチョキパー」を出せるようにしよう。そのためにGTOを勉強しようという感じですね。――確かにポーカーはハンドの強さがあるから明確に期待値マイナスの手って存在しますもんね。あおさん:はい。だからエクスプロイトも「グーチョキパー」を均等に出せる人がすることだと思うんですよね。――ではあおさんのGTOが大事だと思う理由は、どんな相手に対しても「ピン」を出してしまうプレイをしないようにするためというのが大きいところですかね。あおさん:そうですね。まあもちろんエクスプロイトもするときはするんですけどね笑。4. ラスベガスで全財産を卓に:冷静沈着なメンタル管理――続いてメンタル管理についてお聞きしたいんですけど、まずあおさんは海外のライブキャッシュの経験はどのくらいあるのでしょうか?あおさん:去年2-5をメインに100時間ぐらい打ったと思います。――プレイ中に感情の起伏はありますか?あおさん:感情の起伏あるんですけど、金銭面ではほとんど感じないと思います。お金の計算が多分できないんでしょうね笑。「ポットが大きいから」落ち込むとかはわかるんですけど、「金額が大きいから」と思ったことはないです。――なるほど。ティルトはするタイプですか?あおさん:ティルトはめちゃくちゃします笑。――そうなんですね!それってどんなときですか?あおさん:圧倒的に自分のミスプレイでティルトしますね。逆にリバーで引かれて逆転されたとかでは何とも思わないですね。例えば、昔ラスベガスで2-5打ってて、ボムポットでめっちゃ大きいポット落としたんですよね。全然オッズ合ってないドローハンドにずっとコールされていて最後に引かれて逆転されたんですけど。その時に「これコールしてくれるのめっちゃ美味しい」って思ったんですよね。――最後引かれた後でもそう思えるんですね。あおさん:そうなんですよ。それでめっちゃ美味しいって思ったんでラスベガスに持ってきた全財産を卓に置きましたね笑。――すごい笑笑あおさん:お金にあまり執着もないですし、シンプルにチップ量を最大化することに楽しみを覚えてるので、ノーマネーのポーカーもめちゃくちゃ大好きです。――でも実際引いた引かれたとかでティルトしてしまう人はたくさんいるじゃないですか。あおさんはどうしてそんなに冷静にいられるんですか?あおさん:まあでもそういうゲームなので、引く時も引かれる時もそれはあるでしょうと。その上でベストの選択をしたということが大切だと思っています。あとは、純粋にポーカーというゲームを信じているので、実力が反映されると思っていますし、確率は確率通りだと思っています。だから「あいつは肩が強い」みたいな概念は存在しないと思っています。――日本って昔から麻雀とかも普及してましたけど、そういう流れとか運みたいなものがゲームに持ち込まれることって確かに多いですよね。ポーカーでも座学がもっと広まれば変わる気もしますけど。あおさん:そうですね。私は本当に「座学って面白い」と思っているので、みなさんにもぜひ一度やって欲しいなと思っています。――そういう人が増えていくといいですよね。あおさん:私のインフルエンス活動の目標の一つも実はそこでして。ポーカーをなるべくスポーツっぽくしたいんですね。競技性の高いものであって欲しいといいますか。――Mリーグのポーカー版とかみたいなイメージですか?あおさん:そうですね、完全にそれをしたいです。Queen Of Pokerでもそれを目指していて。ポーカーってかっこいいものだし、平等なものだし、ギャンブルではないっていうのを広めたいですね。5. 無人島でも座学:ポーカーで生きていく決意――ポーカーにおける今後の目標や将来像についてお聞かせください!あおさん:そうですね、自分の目標だともっと大きなタイトルを獲得して、もっと知名度が上がってたらいいなと思います。――賞金とかよりもタイトルをとること自体が目標という感じですかね?あおさん:そうですね。それ自体が名誉ですし目標ですね。ただ、もし何か一つ大きいタイトルを獲得しても、もっと高いトーナメントに挑戦すると思うので、結局ずっとポーカーしてるんじゃないですかね笑。――仕事に関しては今後どういう風に考えていますか?ポーカーの専業ルートなんかもありそうですか?あおさん:はい、そうですね。専業 ルートに入りたいなと思っています。ただ、それはポーカーのキャッシュだけの専業だけじゃなくて、インフルエンス活動とかマーケティングとかそういうのも含めてポーカーの専業になりたいなと思っていますね。――続いてですが、ポーカーを通して学んだ人生の教訓みたいものはあったりしますか?あおさん:んー難しいですね……。あー、期待値で考える考え方は身についたと思います。それが事業に活きたりもしますし。ただ、そうですね、 ポーカーで生きるというか、ポーカーが人生のメインすぎて。――もうポーカーを通じて得たことはポーカー界で生きていくことに決められたことかもしれませんね笑。あおさん:そうかもしれないです!ポーカーに出会ってこんなに人生楽しくなると思ってなかったです。――本当に、ものすごくポーカーお好きなんですね笑あおさん:そうですね、かなり自信あるかもしれないです笑。あとよく言うのは「無人島に何か一つ持っていくならトランプ」って言いますね笑。――すごい笑。けど相手も欲しいですよね。あおさん:一人で座学やってるかもしれないです笑。6. みなさんへのひとこと――今ポーカーを始めたての人、もしくはこれから始める人にどんな言葉を掛けたいですか。あおさん:まず、そうですね、「ポーカーに出会えてよかったでしょう」と言いたくなりますね笑。――出会えたこと自体が幸せだと。あおさん:はい。あと勉強したいと思ってくれているなら、今って色々できる思うんですよね。YouTubeを見たり、Wizardを使ったり、それこそPokerQ'zとかもそうですよね。そういうのを使って勉強をすると、もっと違う楽しさが出てくると思います。――最後に、読者の皆さんに向けて何か一言お願いします!あおさん:私はポーカーで自分が強くなりたいとか上手くなりたいという気持ちが大きいですし、みんなが ポーカーをいろんな形で楽しんでくれたら嬉しいなと思います。だから、本当に賭けホームゲームとかすごい嫌ですね。日本で賭けることは本当にやめて欲しくて。ポーカーというものをみんなで大事に作り上げていきたいと思っています。――確かに賭けが広まってしまうと規制が入って、ポーカー界全体の衰退につながりますからね。あおさん:そうですね。 私はポーカーというゲームを純粋に楽しんでほしいと思ってます。ですし、ポーカーはそうやって楽しめるだけの面白いゲームなんですよ。やっぱり勝った人をかっこいいと思えて、どんなに引かれてポットを落としてもコンコンとして立ち去ってくという文化にしていきたいと思いますし、私自身もそういうプレイヤーでありたいと思います。

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「天才、覚醒。」年間1000万円以上勝つ学生最強プレイヤーの思考とメンタルの裏側コラム

「天才、覚醒。」年間1000万円以上勝つ学生最強プレイヤーの思考とメンタルの裏側

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!今回は、ライブキャッシュゲームで累計1,000万円を勝ち取り、戦略研究と情報発信の内容から“学生最強”と呼ばれるDramaさんにお越しいただきました!大学休学を決断し、韓国・カンボジア・アメリカを転戦した3年間で、どのように実力と視座を拡張してきたのか。急成長を遂げた思考法・メンタル術をご紹介していきます!1. 休学して海外遠征で腕を磨いた大学生プレイヤー――まずは自己紹介をお願いします!Dramaさん:北海道大学理学部数学科3年の Drama と申します。ポーカー歴は約3年で、高校の卒業旅行で友人から教わったことがきっかけでポーカーに出会いました。不完全情報ゲームの奥深さと、相手の思考を上回った瞬間の手応え、駆け引きの面白さに魅了を感じ、大学入学後は数学よりもポーカーに夢中になりました。大学2年の冬には「本気で打ち込みたい」との思いから1年間の休学を決断し、ラスベガス・韓国・カンボジアを転戦しました。ラスベガスでは「Amu 精鋭隊」という企画に参加し、3か月で約500万円を獲得できたことが現在の自信の源になっています。現在は自身で立ち上げた、北大ポーカーサークル SECOND NUTS にて、ポーカーの研究に没頭しています。2. 3年間で「学生最強」と呼ばれるまでの急成長の要因――最初からポーカーで簡単に勝てたみたいなことはないと思うのですが、3 年ほどで学生最強と称されるまでに急成長できた要因は何でしょうか?Dramaさん:最大の要因は強いプレイヤーのコーチングを受けられたことです。私は“センス型”ではなく、始めた頃は戦略を組み立てる思考もなく、バランスも理解していませんでした。ポーカーを始めて半年ほど経った頃にPeeeajeさんのコーチングを受け始め、一般的なレクリエーショナルプレイヤーには勝てるようになりました。さらに半年後にはAmuさんのコーチングを受けました。Amuさんは均衡 (GTO)理解が深いだけでなく、思考が非常に洗練されていて、僕の出会った中で最も強いプレイヤーだと感じたのを覚えています。ポーカーでは均衡 (GTO) とエクスプロイトの両方を理解することが不可欠です。前者は努力次第で身に付きますが、後者は良い教材や師に恵まれなければ身に付けるのが難しいと考えています。ーー弱い状態で強い人を見抜くのは難しいと思ってるのですが、どのように判断したら良いですか?Dramaさん:結局は発言内容の論理的整合性で判断するのが現実的です。私はプレイヤーの実力をWinrateで測るのが理想だと思いますが、実際にはサンプルが足りない場合が多いので、まずは発言に論理破綻がないかでふるいに掛けます。論理に矛盾がある人を除外すると、最終的にはまともな人しか残りません。その中から自分と相性が良く、信頼できる人を選ぶのが最善だと考えています。3. 思考の三段階進化:均衡理解からエクスプロイトへ――ポーカーを始めた最初の頃から現在までのプレイ中の思考はどのように進化しましたか?Dramaさん:ポーカーを始めた直後は、バランスという概念が皆無で、自分のハンドだけを拠り所にプレイしていました。リバーではバリューベットとブラフのサイズがまったく異なる意図が相手に丸見えという“最弱”状態です。次に、レンジ全体でバランスを取れるようになりました。具体的にはバリューとブラフのサイズが統一されるすべてのベットサイズ/ラインにブラフを織り込めるため均衡(GTO)ライクな打ち方になる最終段階では、均衡思考を“基盤”としながら 意図的にバランスを崩して相手を搾取できるようになりました。具体的にはブラフはブラフEVが最大化するサイズバリューはバリューEVが最大化するサイズベットラインも各EVが最大になるパスを選択それでいて相手に偏りを悟らせないこの3段階で進化しました。4. 論理的思考を鍛えるワークフロー――Youtubeでの企画「ヘッドホンポーカー」でアクション毎の思考を説明されていましたが、どのような思考過程を経て最終的なアクションを決定していらっしゃるのか。また、その流れを鍛えるコツがあれば教えていただけますか?Dramaさん:まずは「自分がどのアクションで迷っているのか」をはっきりと言語化するところから始めます。具体的には、「チェックとベット33%で迷ってます」と宣言するイメージです。続いて、その二つの選択肢について メリットとデメリット を整理し、均衡(GTO)と比較した場合にチェック EV とベット EV がどのように変化するかを考えます。例えば自分がマージナルハンドを持っているとしたら、「ベット 33 % を選択するとレイズが多く返ってくる可能性が高く、このハンドではレイズにコールできないのでマイナスポイントとなり、ベット EV は低下。一方、チェックした場合はターンでプローブベットがあまり飛んでこないと予想されるためプラスポイント。したがって今回はチェック EV がベット EV を上回りそうなため、チェックを選択」と説明する流れです。この選択肢を列挙する各選択肢の EV 変化を説明するその結果どちらを選ぶのか結論づけるという3ステップで整理すると論理が一気にクリアになります。チェック 33 % という数字がどこから導かれたのかを説明する際には、「ここは均衡のサイズを示している」と明確にし、今回はエクスプロイトとして均衡から外れたサイズを選択する、というように「今は均衡とエクスプロイトのどちらの戦略について語っているのか」を常に明示する癖をつけていただけると良いかと思います。5. メンタル管理とライブキャッシュでの立ち回り――海外で約500万円ほど勝ったご経験をお話しになりましたが、ライブキャッシュは分散が非常に激しいですよね。どのようにメンタル管理されていますか?Dramaさん:メンタル管理はポーカー戦略の勉強と同じくらい重要だと考えています。ライブキャッシュを打つなら、なおさら欠かせないです。私が気をつけているのはまず規則正しい生活です。ポーカープレイヤーはテーブルが良いと離れづらく、睡眠時間が乱れがちですが、睡眠不足でプレイしないのは鉄則です。ひとつのセッションを終えたら、アラームを掛けずに「ぐっすり寝た」と感じるまで眠ります。私はふだん朝食を取らない派ですが、稼働日の朝は必ず食事を取ります。そして筋トレをしてシャワーを浴び、準備してから会場へ向かう。これが基本の流れです。筋トレは脳を活性化させ、自己肯定感も高めます。怠惰な生活は頭の回転を鈍らせ、メンタルにも悪影響を与えますので、「お手本のような生活リズム」を目指すことを強くおすすめします。――Dramaさんはそもそもティルトすることがあるのでしょうか?もしティルトした場合、どのように対処されますか?Dramaさん:稀にティルトしない人もいると聞きますが、私はティルトします。とはいえ、相手に理不尽な形で負けた時ではなく、自分の明確なミスプレーに気づいた時に精神的にきますね。気分が悪いと感じたらすぐに席を立ち、外を散歩して景色を見たり音楽を聴いたりしてリフレッシュします。テーブルに戻っても集中できないと判断したら、その日はプレイを切り上げて帰ります。ただし卓が良い場合は続行するかどうかを天秤に掛けます。また、すべてのプレイラインをメモしています。相手のリークとなりそうなラインを見かけたら即座に記録し、卓の 9 人それぞれにあだ名を付け、観測した特徴をメモします。その下に自分のハンドレビューを書き、翌朝見直して当時の思考とズレていればメンタル由来の偏りとして蓄積します。そうすれば、自分の癖に合わせた対策をプレイ中に講じることができます。6. 休学がもたらした視野とこれからのビジョン――1年間休学してポーカーに専念された経験は、いま振り返ってみてプラスになったのでしょうか?また、現在ポーカーをどのように位置づけていらっしゃるのか、そして将来はどのような形でポーカーを続けたいですか?Dramaさん:休学して本当に良かったと感じています。もし大学生で休学を迷っているポーカープレイヤーがいたら、ぜひ検討してほしいです。若くて体力があり、好奇心も成長意欲も高い時期に 1 年間ポーカーに没頭できるのは大きなアドバンテージです。実力は飛躍的に伸びますし、就職活動で致命的なマイナスになることもほとんどありません。休学期間中に実力が大幅に向上しましたが、「1 年も打てば飽きるだろう」という想定は外れ、むしろポーカーの面白さが増しました。現在は目標とするプレイヤーを超えることを目標に、さらにのめり込んでいます。当然大学は卒業する予定ですが、私の人生のポリシーは「今一番楽しいことを突き詰める」ことです。先の保証や定年後の楽しみに人生を預けるより、いつ死ぬか分からないのだから“今”を最大化したいと考えています。将来もポーカーを「トップ・オブ・トップを目指す舞台」として日本で過ごす時間や友人との交流も大切にしつつ、必要に応じて海外でプレーする予定です。7. これからポーカーを始める人へーGTOは正解ではなく“基準”――最後にポーカー初心者や、勉強中だけど伸び悩んでいる人へアドバイスをお願いします!Dramaさん:思っている以上にGTOは重要で後悔は絶対にしないので徹底的に勉強することをお勧めします。「相手は GTO じゃないから勉強しても意味がない」というのは大きな誤解です。基準を知らないままでは、どこがズレなのかさえ判別できません。まず基準を学び、そのうえで相手の偏りを見つけ、意図的にバランスを崩してエクスプロイトする。これが上達への王道だと思います。

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東大卒業後はポーカープロ?YouTuber?起業家?~異色な道を歩み続ける3人の挑戦と人生観~ 木原直哉・こうちゃん・後藤弘コラム

東大卒業後はポーカープロ?YouTuber?起業家?~異色な道を歩み続ける3人の挑戦と人生観~ 木原直哉・こうちゃん・後藤弘

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!今回は、東京大学卒業後にポーカープロとして活躍する木原直哉さん、YouTuber、麻雀プロとして活動するこうちゃんさん、そして起業した後藤弘さんにお越しいただきました!座談会形式で東京大学卒業後に、あえて“異色な道”を選んだ3人の挑戦と人生観をご紹介していきます。1. 異色な道を選んだ理由とは?——「安定」よりも「挑戦」後藤さん:――木原さんはなぜポーカープロになったのですか?木原さん:そもそもほぼ卒業ができない状態で退学するつもりだったのですが、ポーカーに出会って、それで生活できるようになったことで卒業できたんですよね。だから、“普通の就職を選ばなかった”というより、“普通の就職という選択肢が最初からなかった”という感覚です。後藤さん:――なぜポーカーが卒業につながったのですか?木原さん:塾講師として働いていたんですけど、拘束時間と給料の面で考えると、大学に復学するのは厳しかったんです。世間では「東大生の家庭教師や塾講師はすごく高給」というイメージがありますが、実際は全然そんなことはなくて、生活費を稼ぐだけでも大変で長時間働かないといけないんですよね。自分は理系なので、研究などの時間も必要で、普通に仕事をしながら卒業するのは事実上不可能でした。でも、ポーカーならそれが可能だったんですよね。それならせっかくだから卒業しようと思って復学し、無事に卒業しました。後藤さん:――ご家族はプロポーカープレイヤーになることに対して反対はしなかったですか?木原さん:もし親と同居していたり、仕事をもらっていたりしたら話は別かもしれませんが、一人暮らしで親からお金をもらっているわけでもなかったので、反対はなかったですね。親への報告はすべて事後報告でしたし、仮に反対されても変えるつもりはなかったので、特に問題にはなりませんでした。後藤さん:――こうちゃんさんはなぜ就職しなかったんですか?こうちゃんさん:まず簡単に自己紹介ですが、大学を卒業してQuizKnockで3〜4年働き、その後独立しました。半年後くらいに麻雀プロになって今はクイズを作ったり、テレビに出たり、麻雀をしたりといろんなことをしています。木原さんとは対照的に、僕は大学をすぐに卒業しました。その中で中高の教員免許も取っていて、大学3年生くらいまでは「先生になろう」と思っていました。東京の私立高校を受けようと考えていて、もともと人に何かを教えるのが好きだったので、そういう仕事に就こうと思っていたんです。でも、ちょうどその頃にQuizKnockが人気になってきて、「せっかくだし、しばらくここで働こう」と思うようになりました。ただ、将来的にまた先生をやりたくなったらその時考えるかもしれませんね。木原さんが「親への報告は事後報告」と言っていましたが僕も同じですね。もちろん仲は良くていろいろ話しますが、進路や仕事に関してはすべて事後報告でした。両親から「大企業で働いたら?」と言われたこともありましたが、スルーしていました(笑)。提案されることはあっても強制されることはなかったですね。こうちゃんさん:――後藤さんはなぜ就職しなかったんですか?後藤さん:まず簡単に自己紹介ですが、大学在学中は『東大王』というクイズ番組に3年半ほど出演していました。そして去年から、家庭教師サービスをメイン事業とする会社を経営しています。また、POKER Q’zを開発するCLOViZの取締役にも入っています。起業した理由は、大企業に就職して安定した人生を送るよりも分散の大きい人生に魅力を感じたからです。また、父に中学生の頃から「若いうちにリスクを取れ」と言われていました。「家庭を持つとリスクが取りづらくなるから若いうちにやっておいたほうがいい」という考えだったみたいですね。母はどちらかというと保守的で、「やっぱり大企業がいいんじゃない?」と言っていました。でも最終的には私の選択を尊重してくれました。僕は親と同居していて住居も提供してもらっていますが、何かを強制されることはなくとてもありがたかったです。その分今はリスクを取って挑戦し、成功したらしっかり恩返ししたいと思っています。2. 大企業に勤めるメリットとは?——個人ではできないスケールの仕事後藤さん:――大企業に勤めるメリットは何だと思いますか?木原さん:一番のメリットは、何百億円規模のビジネスを動かせることですよね。個人ではそういう規模のビジネスをやるのは難しいし、そこまで持っていくのも大変です。大企業では、たとえ利益を出しても給料として会社に取られてしまう部分はありますが、それでも大規模なビジネスを動かせるのは魅力的だなと思いますね。3. ポーカープロ・麻雀プロのリアルなデメリットとは?——「信用がない」「収入が不安定」後藤さん:――僕たちのような働き方だと、社会的信用が低く、お金を借りにくいこともあると思うのですが、そのデメリットを感じたことはありますか?木原さん:かなりありますね。今住んでいるところの賃貸保証会社の審査が通らなくて、妻の名義になっています。以前の住まいでは自分の名義で通ったんですが、引っ越しのタイミングで保証会社が変わることになり、そこで通らなくなりました。でも、職業がポーカープロでも住宅ローンは通りました(笑)。後藤さん:ポーカープロや麻雀プロ、メディア出演など、こういう道を選んだからこそ感じるデメリットって他にもありますか?こうちゃんさん:月によって収入がバラバラなので、「今月はちょっと厳しいな」と感じることはありますね。完全に不安定とは思わないけど、一定の給料が保証されているわけではないのでデメリットだと思います。木原さん:僕の場合、振り込まれるどころか、月の収支がマイナスになることもあります。株価の下落もそうですし、ポーカーでも何ヶ月かトータルでマイナスになることもあります。仕事をしているのにお金が減る、というのは普通の仕事とは違いますよね。でも、ある程度勝てるようになれば、長期的に見たときの時給はやっぱり高いです。ただ、世界全体のレベルがどんどん上がる中で、自分は年を重ねるにつれて実力が下がったり、上達のスピードが落ちたりする。そうすると、ついていけなくなったときに食べていけなくなる可能性がある。そこが一番のデメリットですね。後藤さん:――投資をここ2〜3年くらい本格的にやられていますよね。それは将来的な備えという意味もあるんですか?木原さん:全然そういう意図はないですね。ただ単純に面白いゲームとして遊んでいる感覚です。4. 強いだけでは食べていけない?——プロとして生きるために必要なこと後藤さん:――麻雀プロとして活動したり、番組に出演したりすることについてどう思いますか?興味がある人は多いと思うんですが、将来の不安定さがネックで躊躇してしまう人も少なくないと思うんですよね。木原さん:基本的に、麻雀プロというのは「職業」ではなく「資格」に近いものだと思っています。ある種の趣味のサークルで、一定の実力がないと入れない足切りがある、みたいなイメージですね。その中でトップ層に行けば仕事として成り立つ可能性があるけれど、ほとんどの人にとっては麻雀プロは「職業」ではない。そういう意味では夢を追うことができる世界ではあるけれど、現実的に生計を立てるのは簡単ではないですね。こうちゃんさん:そうですね。麻雀プロとして生きていくのは、単に「強ければいい」という話ではなく、それぞれがどういう形で活動していくのかを考えなければいけないんですよね。将棋プロや囲碁のプロは、それに打ち込むこと自体がそのまま生きる道になっていて、勝てば収入が増えるし、競技そのものが職業として成立しています。でも、麻雀の場合、「それなりに勝てます」というレベルでは、それだけで生活していくのは難しい。だからこそ、自分をどうプロデュースしていくかが重要になってきます。ただ、最近は麻雀を教えることの価値がどんどん上がってきて給料も上がり、ハードルが下がってきたと思いますね。後藤さん:起業も同じで、昔は「資本金が1000万円ないとダメ」とか、「会社を潰したら一生後ろ指をさされる」みたいな時代でした。でも、今はそういうハードルがだいぶ下がりましたよね。資本金の制限も緩和され、もし起業に失敗してももう一度チャレンジできる風潮が広まっています。むしろ起業して失敗した経験が他の企業から高く評価されることも増えています。麻雀やポーカープロの世界も同じで、昔と比べると環境がどんどん変わってきています。今は、やりたいことにチャレンジしやすい時代になったと思いますね。こうちゃんさん:以前は、僕たちみたいなフリーな生き方をしている人は、「安定しない人たち」 という冷たい目で見られがちでしたが、最近は 「これもこれで一つの生き方としてアリだよね」 という風潮になってきたと思います。同時に、そこそこの企業に就職することの価値が相対的に下がっていて、「就職してもリスクはあるよね」 という考え方も広まっているように感じます。もう 「この道を選べば絶対安心」 みたいなものが存在しない時代になってきたのかもしれませんね。5. ポーカープロ・麻雀プロ・起業を目指す人へのアドバイス——「悩んでいるならやめたほうがいい?とりあえず動いてみる?」後藤さん:――最後に、木原さんのようにポーカープロになりたいけど躊躇している人や麻雀プロや出演系の仕事をやりたいけど踏み出せない人に向けて、何かアドバイスはありますか?木原さん:正直、悩んでいる時点でやめたほうがいいと思っています。ポーカーは「千分の一の確率で食っていける」とは言いましたが、今食えているからといってそれが一生続くわけではありません。たとえ25歳で食えていたとしても、50歳、60歳になったときにも食えていなければならない。そのためにはスキルの貯金とお金の貯金の両方が必要になります。それを考えると、最低でも「一万分の一」に入れるレベルでないと厳しいと思うんですよね。一万分の一の世界って、単なる努力で到達できるものじゃないんです。「努力しなきゃ」と思ってやっている人は基本的に向いていません。努力している意識がある時点で大体ダメだと思います。 だからもし悩んでいるならやめておいたほうがいいかもしれません。こうちゃんさん:麻雀プロとしては、麻雀人口が増えてくれるのはすごく嬉しいので、みんなにぜひ挑戦してほしいですね。ただ、「それで食っていく」となると話は別です。それぞれの生き方の根底にある自信が大事なんじゃないかと思っています。例えば、もしこの先僕がメディアに全く出なくなって、麻雀プロとしての活動を辞めることになったとしても、僕は 「それでも生きていける」 という自信があります。それは、今まで勉強してきたことや、積み重ねてきた経験があるからです。だから 「これで生きていけますか?」 っていうより、「自分はどんな状況になっても生きていける」 という自信があれば、やってみてもいいんじゃないかなと思います。例えば、僕は教員免許を持っているので、いざとなれば先生として働く道もあります。そういうスキルや強みが自信につながるんですよね。相談されても、「絶対大丈夫だよ」と保証はできません。なので自分の中でしっかり対話して決めることが大事だと思います。とはいえ、僕自身はこの世界に来て本当に楽しいですし、もし麻雀プロにならなかったら、後藤さんや木原さんとも出会えていなかったと思います。たまたまこの道を選んだからこそ、出会えた人たちがいる。それはすごくいい人生を送っているなと思います。だから、やってみるのもありなんじゃないかなと思いますね。後藤さん:起業についてですが、先程も言いましたが昔に比べてリスクを取りやすい環境になっています。なので、悩んでいるならまず一度なるべく若いうちにやってみるのがいいんじゃないかなと思います。たとえ失敗してももう一回やり直せるし、「やっぱ向いてないな」と思ったら企業に就職する選択肢もあります。それに起業して失敗した経験を高く評価してくれる会社も増えている のでそれを活かして働くこともできますよね。僕自身、今はほぼ週7で働いていて、空いている時間は全部仕事みたいな感じですが、それでも楽しくやれています。やっぱりやってよかったなと思っています。なので悩んでいるなら思い立ったその日にとりあえず動いてみるのがいいんじゃないかなと思います。

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ポーカーから拓くゲーム理論の軌跡――ノイマン、ナッシュ、そしてAIの進化コラム

ポーカーから拓くゲーム理論の軌跡――ノイマン、ナッシュ、そしてAIの進化

はじめにポーカーをしていると、「GTO」や「ゲーム理論」といった言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか?プレイヤー同士がチップを奪い合うポーカーはゲーム理論とは切っても切れない関係にあります。以下では、ゲーム理論の誕生から発展、そしてポーカーとの関わりについて見ていきましょう。ゲーム理論に初めて触れる方から、ポーカーを通してゲーム理論に興味をお持ちの方まで、皆さんの参考になれば幸いです。1.ゲーム理論とは何かゲーム理論という名前から、トランプやボードゲームなど「娯楽のゲーム」を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし学問としての「ゲーム理論」が対象とする「ゲーム」は、もっと広い範囲に及びます。複数のプレイヤーが互いの行動を考慮に入れながら意思決定を行い、何らかの「利得(得点や利益のようなもの)」を得ようとする状況全般を「ゲーム」と呼ぶのです。したがって、その応用範囲はボードゲームやカードゲームなどの娯楽だけではなく、競争入札、企業間の価格競争、国際関係の駆け引き、果ては生物の進化の過程にまで広がります。「ゲーム理論」では、そうした「ゲーム的」な場面を数学的にモデル化し、プレイヤーたちの戦略や利得を数式で表現し、最適な戦略や均衡状態を探ります。これには高度な数学的手法が用いられますが、もともとこの理論を構築したのは、20世紀前半の天才数学者たちでした。多くの分野の礎を築いた巨人、ジョン・フォン・ノイマンやジョン・ナッシュの名前は、ゲーム理論の文脈でも欠かせません。2.黎明期――ノイマンの1928年論文ゲーム理論の歴史を紐解くとき、まず最初に名前が挙がるのがジョン・フォン・ノイマン(John von Neumann)です。1928年、ノイマンは「社会的ゲームの理論について」と題した画期的な論文をドイツ語で発表し、ここで数学的な分析手法を使って複数のプレイヤーが得点をやり取りする状況をモデル化しました。ノイマンといえば、量子力学の数学的基礎付け、現代コンピュータのアーキテクチャの概念化、さらには核兵器開発への関与など、20世紀の科学技術の至るところにその名が出てくる「超天才」です。実に多彩な業績を残しましたが、その中に「ゲーム理論の確立」も含まれているのです。1928年当時のノイマンは、確率的なゲーム(ルーレットやじゃんけんのようなもの、あるいは簡単なカードゲームなど)を数学的に整理し、そこに登場する用語や概念をまとめました。たとえば「戦略(Strategy)」「利得(Payoff)」といった、現在のゲーム理論でも基礎となる言葉が、この時期にはすでに考察されていたのです。しかし、その先進性ゆえに、ノイマンのアイデアは当時の学界ではそれほど注目されませんでした。そもそも「ゲームを数学で研究する」と聞いただけでは、真剣に取り組むに値すると判断する研究者が限られていたとも言われています。さらに論文がドイツ語で書かれていたことも、英語圏を中心とする国際的な広がりを阻んだ一因でした。3.『ゲームの理論と経済行動』――1944年の大著ノイマンが着想を得てから十数年が経った1944年、ついにゲーム理論が大きく飛躍する転機がやってきます。経済学者オスカー・モルゲンシュテルン(Oskar Morgenstern)との共著による著書『ゲームの理論と経済行動(Theory of Games and Economic Behavior)』の出版です。600ページを超える超大作であり、ノイマンとモルゲンシュテルンは「経済学における相互作用の問題は、ゲーム理論を軸にして数理的に分析できる」と主張しました。経済学の世界では、それまでも市場や競争の状況を数式化しようとする動きはありましたが、それらはプレイヤー同士が互いに影響を与え合う「戦略的な相互作用」を正面から取り扱うには不十分でした。一方でノイマンとモルゲンシュテルンのこの大著は、2人もしくは複数のプレイヤーが点数やお金を奪い合う「ゼロサムゲーム」という単純なモデルから始め、それを拡張して「非ゼロサムゲーム」へと議論を進めていく、体系的な枠組みを提示したのです。「ゼロサムゲーム」や「ミニマックス原理」「期待利得」といった、現代まで使われ続ける用語や定理がこの時点で既に登場しました。これによりゲーム理論が経済学の世界に一気に浸透し、学問領域として確固たる地位を築いていくことになります。4.ナッシュの登場と「ナッシュ均衡」ゲーム理論といえば「ナッシュ均衡」という言葉を思い浮かべる人も少なくないでしょう。これはジョン・ナッシュ(John Forbes Nash)が1950年に発表した論文によって打ち立てられた概念です。ナッシュは若き天才数学者であり、博士課程在学中に「任意の有限人数ゲームにおいて、プレイヤー全員の戦略の組み合わせとして必ず一つは均衡点が存在する」と証明してしまいました。これがいわゆる「ナッシュ均衡(Nash Equilibrium)」です。ナッシュ均衡では、各プレイヤーは他のプレイヤーの戦略が固定されていると仮定したときに、誰かが戦略を変えようと思っても期待利得を改善できないような状態が成立します。あらゆるプレイヤーが同時に最適反応をし合った結果、誰も戦略を変えるインセンティブがない、というバランスの取れた点といえます。ナッシュの功績が画期的だったのは、「必ず存在する」という存在定理を証明したことでした。たとえばジャンケンのように、何を出しても五分五分で勝負が決まるような簡単なゲームでも、数学的に「どんなゲームでも何らかの均衡点がある」と言えるかどうかは別問題です。ナッシュはこの困難を見事にクリアし、そのために「不動点定理」という高度な道具を用いました。この不動点定理は、日本人数学者・角谷静夫が構築に大きく貢献したとされ、ナッシュは「こんな定理があれば証明できる」と思いつき、それが角谷によって提供されたと伝えられています。5.進化生物学への応用と経済学の深化ゲーム理論が経済学で脚光を浴びると、さらに多方面への応用が進んでいきます。なかでも特筆すべきは、生物学への応用です。生物同士の闘争や協力行動、あるいはメスをめぐるオス同士の戦略などをゲーム理論で分析しようとする動きが1970年代頃から盛んになりました。この分野は「進化ゲーム理論」と呼ばれ、進化安定戦略(ESS:Evolutionarily Stable Strategy)といった新たな概念が登場します。ESSは、ある戦略を取る個体が集団で多数派になったときに、少数の突然変異戦略では多数派の戦略を打ち負かすことができない、という進化上の安定性を示すものです。生物は合理的に考えて行動しているわけではありませんが、淘汰圧の下で自然と「戦略」が磨かれていくプロセスを数学的にモデル化するには、ゲーム理論が非常に相性がよかったのです。一方で、経済学では「ナッシュ均衡」や「非協力ゲーム理論」を中心に、複雑な市場競争やオークションメカニズムをデザインする理論が発達しました。オークション理論でノーベル経済学賞を受賞した研究者たちは、その根幹部分にゲーム理論を活用しています。今日の電子商取引や広告配信の入札システムの裏側にも、ゲーム理論の思想が活きていると言っても過言ではないでしょう。6.ポーカーとゲーム理論の関係――GTOというキーワードさて、「ゲーム理論」と聞くと、将棋やチェスなども思い浮かぶかもしれません。しかしこれらはいわゆる「完全情報ゲーム」と呼ばれ、互いに盤面の情報をすべて共有したうえで戦略を組み立てるタイプのゲームです。一方、ポーカーは「不完全情報ゲーム」に分類され、自分の手札は見えるが相手の手札は見えない、という情報の非対称性が存在します。不完全情報ゲームでは、相手の手札や動向を推測しながらベットやレイズのタイミングと金額を考えなければいけません。お互いにブラフを仕掛け合ったり、確率論を駆使して期待値を計算したり、と戦略の幅が格段に広いのです。この「不完全情報ゲーム」に対し、数学的に「これ以上エクスプロイト(攻略)されない」という戦略の一つの目標が「GTO(Game Theory Optimal)」と呼ばれています。ただしゲーム理論の厳密な用語ではなく、2人ゼロサムゲームでの「ナッシュ均衡戦略」をプレイヤー視点から捉えたときに「自分の取る戦略そのものが、相手に攻略されない戦略」である、という意味合いでGTOという言葉がポーカープレイヤーに好んで使われるようになったのです。GTOの背景――2人ゼロサムゲームポーカー理論で「GTOを極める」とは、突き詰めれば「ナッシュ均衡を自分の戦略として体得する」に近い発想です。ポーカーが2人のプレイヤーがチップを奪い合うゼロサムゲームであると仮定すると、「ナッシュ均衡である戦略の組」が必ず存在し、かつ一方がそれを実行すれば、相手は期待値を高めることが出来ないという性質を持ちます。ただし、ポーカーが実際には6人や9人など複数人で行われる場合、そこではナッシュ均衡の議論が格段に複雑化します。2人ゼロサムの理論がそのまま直ちに適用できない点も多いのです。しかし、実践においてはヘッズアップ(1対1)の状況でのGTOを理解することで、3人以上の場合にも近似的に応用することが出来ます。 7.CFRの登場――ナッシュ均衡を計算する試み1950年代にナッシュが「ナッシュ均衡の存在」を示してから、現代に至るまで多くの数学者たちが「ナッシュ均衡をどうやって具体的に計算するのか」という問題に取り組んできました。しかしゲームが複雑になるほど、すなわちプレイヤー人数が増えたり、選択肢が膨大になったりすると、理論的に存在がわかっていても実際に均衡点を求めるのは非常に困難です。ここで大きなインパクトをもたらしたのが、2007年頃に提案された「CFR(Counterfactual Regret Minimization)」という手法です。日本語では「反事実的後悔最小化アルゴリズム」などと訳されます。これはゲームの各局面を「もし別の行動をとっていたらどうだったか?」と振り返り(これを反事実と呼ぶ)、そのときの「後悔」を小さくする方向へ戦略を改善していく、という繰り返しアルゴリズムです。CFRの大きな利点は、2人ゼロサムゲームであれば理論的に「イプシロン・ナッシュ均衡(少し誤差のあるナッシュ均衡)」へ近づいていくことが保証されている点です。実際にポーカー(特にヘッズアップの場面)を高速にシミュレートするときに極めて有用であり、AIがポーカープレイヤーに勝つための鍵となりました。8.AIの進歩――Libratus と PluribusLibratus(リブラタス)の衝撃2017年、カーネギーメロン大学の研究者らが開発したポーカーAI「Libratus(リブラタス/リブラタスとも)」が、大きな注目を集めました。ヘッズアップのノーリミットホールデムにおいて、人間のトップクラスのポーカープロと対戦し、勝利を収めたのです。将棋やチェス、囲碁などの完全情報ゲームでAIが人間を凌駕する例はすでにあったものの、不完全情報ゲームであるポーカーで「プロプレイヤーに打ち勝つAI」が誕生したことは、ゲーム理論とAI研究の双方にとって画期的な出来事でした。LibratusはCFR系の手法を発展させ、大量の計算資源を投入しつつ、戦略を段階的に抽象化していく仕組みを取りました。ポーカーでは無限に近い数のベット額や状況が存在しますが、「細かい部分は(期待値的に)あまり影響しない」と見なす局面をまとめ、計算負荷を減らす。その上で重要な局面は詳細に計算する、といった工夫がなされています。その結果、膨大な局面を探索しながら、限られた時間でより正確にナッシュ均衡に近い戦略を導き出せるようになったのです。Pluribus(プルリバス)の進化さらに2019年には、同じ研究グループが開発した「Pluribus(プルリバス)」が6人制のノーリミットホールデムでプロプレイヤーたちと戦い、圧勝を収めました。6人という複数人数でのポーカーは、単純なヘッズアップに比べてゲームの構造がはるかに複雑です。2人ゼロサムの理論的な保証は効かず、CFRをどれだけ回しても厳密な収束は保証されません。にもかかわらず、実験的には人間のトッププロを凌駕する強さを示したのです。ポーカープレイヤーの間では「人選が真のトッププロではない」といった議論もありましたが、それでも「複数人ポーカーであっても、既存のAI手法を適用しただけで人間を凌駕できる」という事実は非常に大きなインパクトを与えました。実際、多くのプロが「もうAIには勝てないかもしれない」と考えるに至っています。9.ゲーム理論はまだ「未完の学問」ここまで見てきたように、ゲーム理論はすでに多くの成果を上げ、実際にポーカーや将棋、経済学やオークション、進化生物学など実に幅広い分野に応用されています。しかしだからといって、ゲーム理論がすべてを解き明かしたわけではありません。現在のゲーム理論には以下のような課題があります。複数人ゲームにおけるナッシュ均衡の性質2人のゼロサムゲームではナッシュ均衡が1つ見つかれば、その戦略を採用しておけば相手から攻略される心配がなく、さらに勝ち(期待値)も一定以上確保できる、という性質があります。しかし3人以上になると、ナッシュ均衡の性質はずっと複雑になります。ナッシュ均衡が複数存在したり、どちらが優れているか比較が難しかったりするのです。これは理論的にもまだ未解明な部分が多く、ましてや実践的に計算するのは膨大な手間を要します。不完全情報ゲーム全般の完全解析は極めて難しいポーカーは手札が見えない不完全情報ゲームの代表例であり、CFRを使ったAIが登場したことで「クリアされた」と思うかもしれません。しかし「ヘッズアップ」「リミット」「スタックサイズが固定」など、実際には段階的に制約を加えて解析してきた過程があり、制約を外せば外すほど計算が飛躍的に大変になります。またプルリバスの例のように、非ゼロサム要素や複数人数での相互作用については、依然として十分な理論的保障がないまま「経験的に強いAI」を生み出しているに過ぎないのです。人間は必ずしも合理的ではないゲーム理論は各プレイヤーが「合理的に利得を最大化しようとする」という仮定を置いています。しかし、現実の人間は必ずしも合理的に行動しません。心理的バイアスや損失回避など、非合理的な要素が意思決定に入り込むことが多々あります。こうした要素はゲーム理論の枠外にあるとも言えますが、近年は行動経済学の発展により、「どう非合理的なのか」を定量化しようとする試みも進んでいます。10.まとめと展望ゲーム理論の歴史は、ノイマンが1928年に発表した論文から始まり、1944年の『ゲームの理論と経済行動』によって大きく広がりました。1950年にはジョン・ナッシュが「ナッシュ均衡」の存在を証明し、多人数の戦略的意思決定を数学的に扱うための強力な土台を築きました。その後、経済学だけでなく進化生物学や政治学などへの応用が進み、21世紀に入ってからはAI技術と結びついて、ポーカーのような不完全情報ゲームでも人間のトッププロに勝つコンピュータが誕生しています。その背後には「CFR」というアルゴリズムや、大規模な計算資源を巧みにやりくりする実装技術があります。とはいえ、ゲーム理論は「すべての戦略的問題を解決できる万能理論」ではありません。人数が増えたり、プレイヤー同士が協力関係になる要素が混ざったり、人間の非合理性が絡んだりするほど理論は複雑になり、計算上の困難も飛躍的に増大するのです。そのため、いまだに多くの研究者が「より大きなゲームを、より早く、より正確に解くにはどうすればいいか」と挑戦を続けています。一方、ポーカー界隈では「GTO戦略を理解して実践しよう」とする動きが広まり、トッププレイヤーの多くは何らかの形でソルバーやCFRベースの研究ツールを活用しています。特にオンラインポーカーの世界では、1対1に近い状況やショートハンド(少人数)で高額を賭けるシーンが頻出するため、AI的アプローチを研究することが必須になりつつあるのです。そのうえで、実戦では相手のレベルに応じて「exploit(相手の弱点を突く戦略)」を混ぜる、逆に「自分が exploit されないようにGTO寄りに守備的なプレイをする」など、現実のプレイヤーは柔軟に切り替えます。完璧なGTOプレイはコンピュータによる膨大な試行や計算を要するため、人間プレイヤーが100%再現するのは困難ですが、学習のガイドラインとしてGTOが浸透しているのは確かです。こうした状況は、ゲーム理論が学問分野を越えて実社会に活かされている好例でしょう。カジノなどの賭け事の世界だけでなく、私たちの身近なところでもゲーム理論は使われています。たとえば企業間の価格競争や入札システムはもちろん、日常の駆け引きやSNSでの情報発信などにも、複数のプレイヤーが利得を求め合う「ゲーム的状況」が存在します。実は、私たちは日常生活で無意識のうちにゲーム理論的な駆け引きを行っているのかもしれません。さいごに:ゲーム理論をどう活かすかゲーム理論の歴史を振り返ると、ひと握りの天才数学者の着想から始まり、それが経済学を変革し、生物学の理論を進化させ、さらにはポーカーやAI研究の世界をも変えてきました。古典的な理論から始まって、いまやスーパーコンピュータによる莫大なシミュレーションを用いて戦略を洗練する時代に突入しています。しかし、人間は「理論で語れるゲーム」だけをしているわけではありません。理論が不十分なところこそ、研究やイノベーションの余地が大きいとも言えます。今後はAIのさらなる進歩に伴い、予想もしなかった新たな局面が切り開かれるかもしれません。たとえば、「人間の心理的バイアス」や「不完全情報の中でも複数の利害関係が入り混じった場面」にAIが介入し、多人数同時プレイのゲームで新しい戦略が芽生える可能性もあるでしょう。ポーカーだけを見ても、今なお「6人以上ではどこまで計算可能なのか」「ナッシュ均衡とは別のアプローチでさらに強い戦略が作れるのではないか」など、研究の余地はたくさん残されています。将来、スーパーコンピュータの性能がさらに上がり、あるいは新たな数学的ブレイクスルーが起きれば、もっと多人数の不完全情報ゲームにおいても厳密な均衡戦略を高速で求めることが可能になるかもしれません。「ゲーム理論」と聞くと、一見きわものめいた印象を持つ方もいるでしょう。けれども、その根底にあるのは「複数のプレイヤーが互いに影響を与え合う世界を数理的に理解しようとする姿勢」です。ビジネス、政治、社会問題、生態系――ありとあらゆる分野において、私たちは無数の「ゲーム」をプレイしているとも言えます。そこにゲーム理論の考え方を適用してみると、意外な事実が浮かび上がり、人間の行動や戦略の妙味に気づけるはずです。ゲーム理論について知ったことで、ポーカーに興味を持ったという方は、ぜひ一度ポーカーにチャレンジしてみてください。そこには運の要素だけでなく、人間同士の駆け引きや、確率計算に裏打ちされた戦略思考が色濃く存在します。最初はハンドの強弱やベットサイズの基本を学ぶだけでも十分に面白いですし、だんだんとブラフのタイミングや、GTO戦略のエッセンスを理解できるようになると、さらに奥深い世界が見えてきます。一方で本格的に学術面からゲーム理論に踏み込みたい方は、ナッシュやノイマンの原典に触れ、大学の経済学や数学の講義で扱われる理論書に挑戦してみるのもよいでしょう。そこでは抽象的な数式が並ぶかもしれませんが、ベールをはがすと、実際の人間社会のあらゆる駆け引きが数学という道具を使ってモデル化されていることに感動を覚えるはずです。ゲーム理論は今も進化し続ける「未完の学問」です。けれどもその歴史をたどってみると、私たちが住む世界がいかに「戦略」や「相互作用」で満ちているのかが、改めて見えてきます。今この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら明日からの暮らしの中で「これってゲーム理論っぽい状況かも」と感じる場面が増えるかもしれません。そんなとき、自分なりに「ナッシュ均衡ってどういう意味だっけ?」などと思い返してみるだけで、ほんの少し視野が広がって世界が面白くなる――それがゲーム理論の醍醐味だと言えるでしょう。

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麻雀×ポーカーの新感覚思考ゲーム「雀ポ」ルール解説コラム

麻雀×ポーカーの新感覚思考ゲーム「雀ポ」ルール解説

「雀ポ」とは「雀ポ」はPoker Q'z 開発担当の 「としき」 が考案した、麻雀とポーカー(テキサスホールデム)を融合させた画期的なゲームです。プレイヤーは麻雀の手牌とポーカーのハンドを同時に持ち、自身の手番で「麻雀の打牌」または「ポーカーのアクション」のどちらを優先するか選択します。この選択を通じて、麻雀とポーカーのどちらに重きを置くかを状況に応じて判断しなければなりません。両方のゲームのバランスを取りながら戦略を立てる必要があり、まさに頭脳と駆け引きを存分に楽しむことができる、新感覚のゲームです。基本ルール持ち点麻雀・ポーカー共通でスタート時は 25,000点。点棒の扱いポーカーのチップとして 一元管理 します。麻雀の点棒に置き換えても成立します。アクションの制限各手番で、麻雀における「手出し」とポーカーにおける「チップを場に出すアクション」はいずれか一方しかできません。すなわち、①ポーカーでコール以上のアクションを行う場合は、麻雀は強制でツモ切りです。②麻雀で手出しを行う場合は、ポーカーは強制でチェックかフォールドです。ゲームは麻雀の順番に沿って進みます。すなわち、ポーカーのアクション順がいつもと逆回りです。ポーカーにおいて自分の手番でないときは、麻雀の打牌だけをします。(通称、タタ雀タイム)ポーカー形式テキサスホールデム。ブラインド200-500で固定。ディーラーPD(プレイングディーラー)が1人必要です。このゲームに最も適性がありそうな方にお願いすると良いでしょう。必要な道具トランプとチップ。チップは麻雀の点棒でも可。麻雀ルールMリーグ準拠の4人麻雀です。(東風戦を推奨します。半荘だと非常に対局時間が長くなります)親の連荘ありません。東風戦なので必ず 4局 で終了します。必要な道具麻雀牌と卓のみ。自動雀卓でやっても良いですが、カードやチップを卓内に落とした場合、一切責任を負いません。※試合時間が長くなることに抵抗が無ければ、麻雀のルールは自由に変更しても問題ありません。ゲームの進行局の開始時配牌麻雀牌を各プレイヤーに 13枚ずつ配ります。王牌はディーラーの下家の自7で作ることを推奨します。(ポーカーの時、ボードを開きやすいためです)自動配牌の卓であれば、自動配牌機能を切ることを推奨します。※ 親は最初のツモ牌を配牌時に取らず、14枚目を第一ツモ として扱います。ポーカーハンド親がポーカーで最初アクションする位置(カットオフ)となるようボタンを配置します。麻雀の親が第一ツモを終えた後、ポーカーのハンドが全員に配られます。※ポーカーのアクション順の関係で麻雀しか出来ない時も、基本はハンドが配られてから打牌します。局の進行中ツモ番での選択自身の手番では基本ルールに従って、麻雀の 打牌 とポーカーの アクションを同時に行います。(ポーカーは自分のアクション順の時のみ。そうで無ければタダ雀タイムです。)鳴き麻雀の 副露(鳴き) は通常の麻雀同様に可能です。ただし、鳴きを選択した場合、ポーカーのアクションはその番では行えません。ポーカーのアクションは麻雀のツモ番にしか行わないため、ポーカーのアクション権を持つプレーヤーにツモ番が回るまではタダ雀タイムが続くこともあります。ポーカーハンドの終了・麻雀でその局が終了していなければ、次のポーカーハンドがそのままスタートします。・ポーカーで次のハンドが始まる時は、必ずCOからのアクションになるようにします。それ以前のプレイヤーは、そこでは麻雀のみを行います。麻雀におけるアガリ処理・アガリが発生した場合は、ポーカーを一時中断し、通常の麻雀同様に点数を払います。・ツモ和了のとき→ポーカーハンドはチェックかフォールドします。コール以上のアクションを行いたい場合は、アガり牌をツモ切るしかありません。・ロン和了のとき→特に制限はありません。ポーカーのアクション順には特に影響しません。麻雀の局の終了・麻雀の局が終了する条件は、アガリの発生または流局です。その場合、その時に進行しているポーカーハンドをラストハンドとして、次の局に進みます。この間、麻雀は行わないので手牌を伏せておきます。特殊なケース持ち点が0以下になった場合ポーカーは飛んだものと見なし、そのプレイヤーは以降、麻雀のみをプレイします。3人が持ち点0以下になった場合、その局が 最終局 として終了します。ポーカーのハンドを持っている時に麻雀で失点し、持ち点が0以下になった場合は、最後にチップを出したアクションがオールインであったものとして扱います。オールイン持ち点が0点になるよう 全額を賭ける行為 とみなされます。もしもオールイン中に麻雀のアガリで点数を獲得した場合は、最後にチップを出したアクションが、その額面のベット/レイズであったと見なします。対局の終了と勝敗条件・最終局である東4局が終わり、最後のポーカーハンドが終了したタイミングがゲームセットです。・素点の合計 が最も高いプレイヤーが勝者となります。・麻雀の 順位点 は適用されません。注意事項ポーカーや麻雀で 反則 が発生した場合、復元可能な場合はノーカウントで処理します。ゲーム進行に重大な影響を及ぼす反則については、 PDがその場で裁定を行って判断して下さい。戦略と選択雀ポでは、麻雀とポーカーのどちらに注力するかがゲームの鍵です。以下が雀ポ特有の選択・戦略の例になります。①麻雀の有効牌と強いポーカーのハンド・有効牌をツモ切ってでも、ポーカーの期待値を追うべきか?・麻雀の有効牌を優先し、強いハンドを捨てるか?②無駄ヅモとフォールドすべきハンド ・麻雀の無駄ヅモを活用して、普段参加しないポーカーハンドをオープンするか?・相手に麻雀で有効牌を引かせれば、ポーカーをフォールドさせてブラフが決まりやすいのでは?③麻雀の配牌がどうしようもない時・麻雀は捨ててポーカーだけに特化して、ポーカーで稼いだ方が得なのでは?このように、2つのゲーム間で行動を最適化する必要があります。一方のゲームでのアクションが、もう一方のゲームに影響を与えることも少なくありません。上級者同士では、盤上の多くの要素を駆使して高度な読み合いが展開されることもしばしば見られます。両方のゲームをバランスよく進めるのか、一方に集中して特化するのか、その判断が勝敗を大きく左右するでしょう。まとめ「雀ポ」は、麻雀 と ポーカー の異なる戦略性を同時に楽しめる、新感覚の融合型ゲームです。麻雀の実力:手牌の読み、他家の動向の把握。ポーカーの実力:期待値の判断、相手のプレイの洞察。それぞれのゲームスキルが試されるだけでなく、両方のバランスを取りつつ、相乗効果を生む選択 が求められます。この新しい挑戦をぜひ楽しんでください!

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【メンバーインタビュー⑤】統計学から紐解くポーカーの世界  - 高尾和希コラム

【メンバーインタビュー⑤】統計学から紐解くポーカーの世界 - 高尾和希

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!CLOViZとは一体何なのか、そしてどのようなメンバーが在籍しているのか、それを知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。本ブログでは、インタビュー形式でCLOViZのメンバーを紹介していきます。CLOViZの目指すビジョンやバリュー、それぞれのメンバーの役割やスキルセットについて触れながら、チーム全体が持つ力強さや個々の魅力を紹介します。第5弾として、本記事ではポーカーの講師やコンテンツ制作に携わっている高尾さんについてご紹介していきます!1. 統計学を武器に挑む大学生ポーカープレイヤーーーまずは簡単に高尾さんのことを教えてください!法政大学経営学部所属の高尾和希と申します。大学では、統計学・計量経済学の研究をしています。ポーカーとの出会いは中学校の文化祭でした。本格的に始めたのは2022年4月、東大ポーカーサークルに入った時からです。そこで不完全情報の魅力に取り憑かれ、当時は朝から晩までポーカーのことを考えていていました。お風呂に入っている時もコンボ数を数えたりするほど熱中していたことを覚えています。成績としては、2024年1月にJOPTサイドイベントで優勝、2月にはSPADIEサイドイベントで優勝しています。また、最近ではノーリミットホールデム以外のゲームの勉強もしており、最近では2025年1月のJOPT PL-BigOという大会で7位を取りました。CLOViZではポーカーの講師やポーカー学習アプリ「POKER Q'z」でどんな問題を出すかなどのコンテンツ作成などを担当しています。2. 相関を超えて因果を掴む:ポーカーと暗号資産トレードの共通点ーー大学での研究や趣味で暗号資産のトレードの研究について詳しく教えていただけますか?現在、大学では因果推論を研究しています。ある介入や要因が結果に与える影響(因果関係)を特定し、定量的に評価するというもので、マーケティング施策の効果測定などに活用されます。例えば、動画広告における各要素(出演者の性別、動画の長さ、企業名の表示時間など)が消費者の購買行動にどのような影響を与えるのかを分析し、因果関係を考えることで、より効果的な広告戦略を提案することができます。因果推論の考え方はポーカーの戦略の研究にも活きていると思っています。代表的なもので言えば、特徴が似たものをまとめるクラスタリングと呼ばれる手法を用いてフロップを分類することで、均衡戦略を人間に使いやすい形で簡略化することなどが挙げられます。また、2023年10月からは暗号資産取引の研究にも取り組んでいます。botと呼ばれる通貨の取引を自動で行うプログラムで取引をさせて、継続的に収益をあげることを目指しています。まだまだ界隈の中では初心者ですが、今後本腰を入れて取り組んでいきたいと思っています。特に興味深いのは、ポーカーと暗号資産取引の構造的な類似性です。両者ともにゼロサム構造のマーケットであり、メンタルコントロールの重要性、マネープレッシャーへの対応力、そして統計的思考が求められます。マーケットの収益源(ポーカーでは相手のリークとも置き換えられますね)を見つけ、エクスプロイトしていく様相は、ハイステークスのオンラインポーカーの状況に非常に似ていますね。3. ポーカーがもたらした新たな視点:統計的思考と国際交流ーー大学での研究や趣味がポーカーでも生きているんですね!ポーカーを通じて学んだことや魅力は何ですか?ポーカーを通じて最も身についたのは、統計的な思考方法です。日常生活の様々な事象を確率事象として捉えられるようになりました。例えば、自動販売機で好みの飲み物が売り切れていた時、次の自動販売機まで行くかどうかという判断も、期待値という観点から考えるようになりました。また、感情的になること(ポーカー用語で「ティルト」)を抑制し、一局一局を冷静に判断する姿勢も身につきました。実力のある上級プレイヤーでも短期的には負けることがあります。この波(分散)と上手く付き合っていくことがポーカーの難しさであり、魅力でもあります。一つのテーブルを囲んで長時間プレイするため、自然とコミュニケーションが生まれる点も大きな魅力です。最近ベトナムでプレイした際も、言葉の壁を超えて、ポーカーを通じて参加者と交流することができました。4. 未来へのビジョン:海外挑戦とポーカーの理想像ーーーー確かに、期待値で考えると日常の選択肢も違って見えますね!今後のポーカーとの関わり方とポーカー業界への期待について教えてください。お金のためというより楽しみのためにプレイしていく予定です。大学4年になると時間ができるので、海外に滞在し、キャッシュゲームにチャレンジしたいと考えています。行き先の第一候補は、英語圏であり物価が安いフィリピン、次がラスベガスです。業界発展を考えると、法律周りが改善してくれるといいなと思います。大会の賞金提供が理想的ではないと感じているので、国のIR事業とうまく絡めながらクリーンな形になっていければと思っています。5. レイトレジストの真価:スモールスタックスペシャリストの視点ーー法律面の整備が進むとより広がりが出そうですね!得意とされているプレイスタイルは?ノーリミットホールデムのトーナメントでは、30BB以下のスモールスタックの戦略には自信があります。逆にディープなスタックは相対的にあまり得意ではないので、レイトレジストギリギリで参加することが多いですね。一般論的にもレイトレジストで入った方が期待値が高いというのもあります。ただ、日本のトーナメントに多い還元率が非常に悪いトーナメントの場合、そもそもお金のためにプレイすることが理にかなっていないので、最初からエントリーしてポーカーを楽しむのも手です。6. 「GTOを人間の言葉で」:POKER Q’zが変えるポーカー学習の常識ーーレイトレジストも戦略の内だったんですね!ポーカーはどのように勉強したら良いと思いますか?僕の場合、最初は本で勉強しました。現在は、東大ポーカーサークルのメンバーや上手いプレイヤーと話し合ったり、GTO Wizardを活用して学習しています。座学と実践のバランスは永遠のテーマですが、初心者はまず実践を重視し、仮説を立てられるようになるまで遊んでみるのが良いと思います。その後、理論を学ぶフェーズが重要になります。この過程でGTO Wizardの結果を理解するのに苦労する人が多いですが、そうしたギャップを埋めるツールとしてPOKER Q'zを開発しています。日本では、リンプをしないといった基本的な戦略を学んでいるプレイヤーは増えています。しかし、GTOの概念やGTO Wizardの結果を実践で応用できる人は限られており、多くの人にとっては理解や応用に時間がかかる、もしくは難しいのが現状です。POKER Q'zは、結果を人間の言葉でわかりやすく解釈することを目指しています。これにより、GTOという複雑な概念が初心者にも理解しやすくなると期待しています。ポーカーには数理的な難しさから敷居が高く感じられる一面もありますが、同時にコミュニケーションツールとしての魅力もあります。POKER Q'zが、壁を取り除き、より多くの人がポーカーを楽しむきっかけになると嬉しいです。ーー高尾さん、本日はインタビューありがとうございました!こちらこそありがとうございました。僕たちの取り組みに興味がある、一緒にサービス開発に携わりたいと感じていただいた方がいましたら、ぜひ下記リンクよりお問い合わせください!

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【取締座談会:後編】 POKER Q'zへの想いコラム

【取締座談会:後編】 POKER Q'zへの想い

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!CLOViZとは一体何なのか、そしてどのようなメンバーが在籍しているのか、それを知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。本ブログでは、インタビュー形式でCLOViZのメンバーを紹介していきます。CLOViZの目指すビジョンやバリュー、それぞれのメンバーの役割やスキルセットについて触れながら、チーム全体が持つ力強さや個々の魅力を紹介します。本記事では代表取締役の真崎さん中心に東大発ポーカー学習アプリ「POKER Q'z」についてご紹介していきます!【取締座談会:前編】はこちら1. レベルに合わせた学習と弱点の可視化ーー「POKER Q'z」の目指すもの、特徴についてお聞かせください!真崎さん:主体的に勉強できる人ももちろんターゲットなのですが、どちらかというとできない人の方に届けたいです。私自身ができない側だったので気持ちがよくわかると思っています。ポーカー歴は長いけど勉強したことがない人や、どうやって学べば良いのか悩んでいる人、自分がどれだけの位置にいるのか分からない人、難しい分析ツールにハードルの高さを感じている人は、実際に多いと思います。そんな人に向けて、実践に近い形で、「自分だったらどうする?」という立場で考える機会を提供し、実際に試してみた結果が良いのか悪いのか、全体の中で自分がどのポジションにいるのかがわかる。そういう学びの場を提供したいと考えています。また、日本だけでなく世界中のポーカープレイヤーに届けたいと思っています。木次さん:既存のポーカー関連の学習系サービスは、どちらかというと『勉強』というより『研究』に近い位置付けのものが多いと感じています。サービスを利用する側が情報を自ら解釈する必要があるためです。このような形式では、右も左もわからない初心者が一から理解するのは非常に難しく、敷居が高いのが現状です。一方、私たちのサービスである POKER Q’z では、具体的なシチュエーションに基づき、「どう考えれば上手く立ち回れるのか」「なぜその選択が間違っているのか」といったポイントまで丁寧に解説しています。そのため、次に同じような状況に直面した際に、どのように判断すれば良いかを自然と学べることが大きな特徴です。後藤さん:そうですね。ポーカーをやっていない人からすると、「模試で正答率70%の問題を間違えたらやばいですよ」とは言われても、どの教材を使えばそれができるようになるのかまでは教えてもらえないというのが旧来のサービスで、「この教材をマスターしたらこの問題解けるようになりますよ」というまでが一貫して学べるのがPOKER Q’z ですね。また、ポーカー学習では他人にアドバイスを求める機会もあるかと思いますが、間違った情報を教えられることも多く、教材選びには多くの落とし穴が多いと感じています。その点、CLOViZでは大会で実績を持つ方や理論をしっかり学んでいる方がコンテンツを制作しているため、信頼性が担保されています。YouTubeなどでは一方通行になったり、レベル差を感じたりすることもありますが、私たちのサービスでは自分の状況に合った学びを得ることができます。真崎さん: 弱点の可視化も重要なポイントですよね。例えばフィットネスでは、カルテに体脂肪率や脂肪がどこに付いているかなど自分の課題が可視化され、それを定点観測的に記録・提示してもらえると、モチベーション維持に繋がりますね。木次さん:そうですね。POKER Q'zは裏側で複雑なシステムが動いていますが、ユーザー目線では自然に弱点が可視化される仕組みになっています。例えば、特定のハンドレンジでの判断ミスが多い場合、それを優先的に学習コンテンツとして提示する機能を実装しています。そのため、ストレスを感じることなく、学習のモチベーションを落とさずに継続できるアプリになっていると思います。2. POKER Q'zの展望:人間のようなCPU(AI)・グローバル展開・コミュニティ形成ーー確かに弱点が分かってそれが改善されているのが見えるとモチベーションが上がりますね! 最後に将来的な展望についてお聞かせください!真崎さん:現状のアプリは理論的な結果をベースにしていますが、実際のポーカーではプレイヤーごとに個性や癖が表れます。将来的には、こうした様々なプレイスタイルに対応した学習システムを実現したいと考えています。たとえば、アグレッシブな相手への対策や、キャッシュゲームだけでなくトーナメントスタイルにも対応できる仕組みを検討しています。特に面白いアイデアとして、特定のプレイヤーのスタイルを再現したCPU(AI)の開発を考えています。これが実現すれば、自分のプレイスタイルが他のプレイヤーにどう映っているかを客観的に理解する手助けになります。また、海外の有名プレイヤーを模したCPUと対戦できるとなれば、楽しみながら学べる要素がさらに広がると思います。理論的な最適解であるGTO(ゲーム理論に基づいた最適な戦略)の重要性は変わりませんが、そこに人間らしい特徴を持つAIとの対戦を組み合わせることで、学びの幅を広げたいと考えています。幸いなことに、私たちのチームにはポーカーとエンジニアリングの両方に精通したメンバーが揃っているので、これまでにない独自の価値を提供できると確信しています。また、米欧を中心にダウンロードされている世界で5本指に入るポーカーのソーシャルアプリゲーム会社から出資を受けており、将来的にはグローバル展開をしていく予定です。特に南米やアジアなど、従来のポーカー先進国以外でもプレイヤー人口が増加している現状を踏まえると、非常に良いタイミングだと感じています。最終的には、オンラインとオフラインの両方でコミュニティを形成し、プレイヤー同士が学び合える環境を作り上げたいと考えています。ーー真崎さん、木次さん、後藤さん、本日はインタビューありがとうございました!こちらこそありがとうございました。僕たちの取り組みに興味がある、一緒にサービス開発に携わりたいと感じていただいた方がいましたら、ぜひ下記リンクよりお問い合わせください!

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【取締座談会:前編】 CLOViZ創業の想いコラム

【取締座談会:前編】 CLOViZ創業の想い

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!CLOViZとは一体何なのか、そしてどのようなメンバーが在籍しているのか、それを知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。本ブログでは、インタビュー形式でCLOViZのメンバーを紹介していきます。CLOViZの目指すビジョンやバリュー、それぞれのメンバーの役割やスキルセットについて触れながら、チーム全体が持つ力強さや個々の魅力を紹介します。本記事では代表取締役の真崎さん中心にPOKER Q'zを推進するCLOViZ株式会社についてご紹介していきます!1. CLOViZ創業メンバーの経歴ーーーまずは皆様の経歴についてお聞かせください!真崎さん(代表取締役):Xプロフィール私は今年7月まで、日本テレビ放送網でエンターテインメント業界に携わっていました。ただ、番組制作そのものよりも、番組をビジネスとしていかに成立させるかという点に強い関心を持って入社しました。実際、新たなIPプロデュースやライブなどの放送外収入の仕事に多く携わる機会がありました。携わったIP開発のプロジェクトとしては「Nizi Project」「BISH THE NEXT」「XY」などのオーディション番組が挙げられます。また、母が創業した小学生向けの教育事業にも参画し、全国で現在20ヶ所を超える場所で事業を展開しています。創業理念である、「遊んでいたら、学んでいた」は、このエンタメ・教育事業、双方の経験をもとになっています。木次さん(取締役COO):Xプロフィール自分は元々外資コンサルファームで、主に大手企業のDX推進やデータ分析基盤の構築を担当していました。その過程で、ビジネス課題を技術で解決することに強い関心を持ち、独学でプログラミングを習得したり、ブロックチェーン領域のベンチャー企業で事業統括・プロダクトマネジメントなど幅広い分野も経験してきました。その中で自分の中でB2Cプロダクトの可能性により強い興味を持つようになり、自分自身でもプロダクトを作りたいと考えるようになりました。その過程で元々お知り合いだった真崎さんと出会い、近々で流行っているAIブームもあり教育×AIのビジネスプランを相談した際に、ポーカーという領域でそれをやったら面白いのではという話になったのが、CLOViZが立ち上がったきっかけでもありますね。後藤さん(取締役):Xプロフィール私は真崎さんから、会社設立の相談とYouTube番組「POKER ROYALE」への出演依頼をいただいたことがきっかけで参画しました。他のお二人とは異なり、私はポーカーを本格的に取り組んでいる立場から、プレイヤー視点でのアプリ改善への提言や、ポーカーコミュニティでの人脈を活かして賛同者を集めるような役割を担当しています。真崎さん:木次さんとは私が手伝っていたブロックチェーンのスタートアップで出会い、数年後お会いして共に事業のスタートをしようと話しました。コンサル出身でありつつ、エンジニアリングもできるので、二刀流で会社全体をみてもらっています。後藤さんは本当にすごい人で、開成高校を首席で卒業し、東大時代にはミスター東大にも選ばれています。さらに、東大王への出演経験もあります。でも、ただ経歴がすごいだけではなく、人間性も素晴らしくまさに鬼に金棒のような存在です。会社に関わるだけで、周りの人にも良いイメージを与えてくれています。また、後藤さんはポーカープレイヤーとして、プレイヤーがどのような課題を抱えているのか、どんなニーズがあるのかを深く理解されています。それを教育やビジネスに活かす視点を持っている点も非常に心強いです。今日は不在ですが、他にも日本最高峰のAI研究技術やポーカーの専門知識を備えたメンバーが集まっているのが、この会社の強みです。たとえば、東大でゲームAIや自然言語アルゴリズムを研究しているメンバーや東大ポーカー団体会長とそのメンバー、海外のポーカーキャッシュやトーナメントで活動している人もいます。彼らの専門知識が、アプリの設計や技術面で大きな力となっています。2. エンターテインメント×教育ーーポーカーと技術の両方を備えたメンバーが集まってるのはすごいですね! CLOViZを立ち上げた背景と、POKER Q'zに込めた想いについてお聞かせください!真崎さん:実は、CLOViZはポーカーだけでなく、『エンターテインメント×教育』事業を今後展開したいと考えています。ポーカーはあくまで一つ目のテーマです。こうした理念をもったきっかけは、主に二つあります。 一つはエンタメ業界での経験です。オーディション番組を作っていると、視聴者の方々にエンターテインメントとして楽しんでいただけただけでなく、『自分も頑張ろうと思えた』という声をたくさんいただきました。純粋な娯楽としても楽しめるけれど、見ている人の明日への活力にもなる。そういった『エンターテインメント×教育』の掛け合わせに、大きな可能性を感じ、生涯追求していきたいテーマの一つになりました。もう一つは、私の親が運営している教育事業での発見です。そこでAIを活用した算数のAIゲーミフィケーション教材が大きな成果を上げていて、従来の紙と鉛筆による学習と比べて8倍も学習時間が増えたというデータがありました。子どもたちは遊んでいる感覚で自然と学習を重ね、その過程で知識が身についていく。さらに、管理画面では個々の得意不得意が可視化され、それに応じた最適な学習が可能になる。この仕組みを大きな市場の広がりを見込んでいるポーカーに応用できると考えました。POKER Q'zの立ち上げには、主に三つの想いがあります。 まず第一に、ポーカーの学習をより多くの人にアクセスしやすいものにしたいという思いがあります。賢い人、自主的に勉強できる人であれば既存の分析ツールを活用できると思います。しかし、私自身の経験からも、「ポーカー歴は長いけれど勉強したことがない」とか「どうやって学べばいいのかわからない」という人が多いと思っています。そういった方々に向けて、実践に近い形で、自分だったらどうするかを考え、その結果が良かったのか悪かったのか、全体の中で自分の判断がどの位置にあるのかを知ることができる環境を作りたいと考えました。次に、知識の民主化があります。将棋や囲碁のように、従来は研究会などローカルなコミュニティでしか得られなかった知見を、より多くの人がアクセスできるようにしたいと考えています。特定の人脈を持つ人だけでなく、世界中の誰もが質の高い学びにアクセスできる環境を作ることで、コミュニティ全体がレベルアップしていければと考えています。最後に、学びと実践のサイクルを促進できるコミュニティの実現です。 「実践は個人戦だけれど、その準備段階はみんなで取り組んでも良いのではないか」という考えがあり、メンバーが互いに知識を共有し、実践での成功失敗を議論し合える場を作ることで、一人での学習よりも継続的で効果的な成長が期待できると考えています。ーー後編に続く...

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【メンバーインタビュー④】 データサイエンスが変えるポーカーの学び方 - 太田竜貴コラム

【メンバーインタビュー④】 データサイエンスが変えるポーカーの学び方 - 太田竜貴

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!CLOViZとは一体何なのか、そしてどのようなメンバーが在籍しているのか、それを知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。本noteでは、インタビュー形式でCLOViZのメンバーを紹介していきます。CLOViZの目指すビジョンやバリュー、それぞれのメンバーの役割やスキルセットについて触れながら、チーム全体が持つ力強さや個々の魅力を紹介します。第4弾として、本記事ではコンテンツ制作に携わっている太田さんについてご紹介していきます!1. 確率論を武器に~大学院生が挑むポーカーの世界~ーーまずは簡単に太田さんのことを教えてください!法政大学大学院理工学研究科所属の太田竜貴と申します。 大学では、数理ファイナンス・機械学習の研究に従事しています。 具体的には金融・確率論など、ポーカーと近い部分です。ポーカー歴は4年で、これまで様々な種目を幅広く経験してきました。 出会いは大学1年生の時で、最初は仲間内で遊びでテキサスホールデムをやっていました。その後、東京のアミューズメントカジノでポットリミットオマハの講習会に参加し始め、そこでポットリミットオマハの面白さにすっかりハマりしばらく没頭していました。講師の方が本当に素晴らしい方で、そこで基礎を教えていただきました。 3年目には同じ店の講習会で、デュース・トゥ・セブンやバドゥギといったミックス系のゲームも学ぶ機会があり、特に27とバドゥギにハマっていました。 4年目は友人の影響でトーナメント中心の勉強に切り替え、最近は原点回帰してテキサスホールデムのリングゲームに戻り、GTO戦略の研究に集中しています。成績としては、JOPTのメインイベントで16位、サイドイベントで準優勝2回、韓国のバドゥギのトーナメントで優勝1回を達成しています。CLOViZではポーカー学習アプリ「POKER Q'z」でどんな問題を出すかなどのコンテンツ作成や、講習会の内容作成、カリキュラムの設計、スライドの制作などを担当しています。研究中の太田さん2. GTOを超えた柔軟な戦略展開ーー様々な種目を幅広く経験してきたんですね!プレイスタイルで意識していることは何ですか?基本的なことではありますが、エクスプロイトの観点ではテルを見るというよりも、相手のプレイを観察してGTOから外れていそうな部分をエクスプロイトすることを心がけています。特にトーナメントでは状況に応じてレンジが変化するため、相手の参加ハンドや降りるべきハンドがGTOとは異なることが多いと思います。そういったGTO的に戦略を変えるべき場面で柔軟に対応し、相手に合わせたアクションを選択しています。具体的には、オールインする時のレンジや、トーナメント特有のバブルファクターが大きい場面でのアクションは、相手によって変えるべきです。このようなプリフロップでの判断が、トーナメントにおいて最も重要なポイントだと考えています。トーナメント優勝時の太田さん3. 対人ゲームの奥深さ ~心理戦と交流の魅力~ーートーナメント特有のプレイスタイルがあるのですね!太田さんにとってポーカーはどこが魅力だと思いますか?まず心理戦の要素があることに魅力を感じています。昔から対人ゲームで心理戦の要素があるものが好きだったのですが、ポーカーはまさにそれに当てはまり、自然と好きになりました。ゲーム性以外の魅力としては、普段出会えないような方々と知り合える点です。人との繋がりができることに大きな魅力を感じています。大学生活では、インカレサークルに所属しない限り他大学の学生との交流機会が少ないのですが、ポーカーを通じてそういった繋がりができました。また、普段の大学生活では年上の方との関わりが限られますが、自分より一回り上の方々と知り合うことができ、社会人経験のある方のお話を聞けたことは非常に新鮮でした。4. 海を越えて広がるポーカーの世界 ~APTでの学びと感動~ーー心理の駆け引きが奥深いですよね。ポーカーをする上でやっていてよかったこと、印象に残っている体験はありますか?韓国のチェジュ島で開かれるAPT(Asian Poker Tour)に参加した際、テキサスホールデム以外のゲームを経験していて良かったと実感しました。特にAPTではミックスゲームが多く、バイインも比較的安価で参加しやすいという利点があります。また、キャッシュゲームでミックスゲームをプレイする中で、海外のプレイヤーとも自然と交流が生まれて、とても楽しい時間を過ごすことができることに気がつきました。ライブポーカーではテキサスホールデムが主流ですが、トーナメントではミックスゲームを楽しむ機会も多く、海外ではプレイヤー同士の合意があればキャッシュゲームでもミックスゲームができます。印象に残っている体験はバドゥギの大会に出場した時のことです。ヘッズアップまで残り、かなり追い詰められて強制オールインという状況になったのですが、そこからラッキーが重なって優勝することができました。 これは、まさにポーカーの面白さを表していると思います。もちろん実力は必要ですが、運によって実力者に勝てる可能性があるというのも、ポーカーならではの面白さだと思います。5. ポーカー初心者の学びを支えるPOKER Q'zの挑戦と業界の課題ーーまさに運も実力のうちという言葉がありますね!ポーカー業界で課題に感じていることはありますか?まず、初心者がどの情報を参考にすべきかわからないことが課題だと思います。様々な方が正しい情報を発信していても、ポーカーを始めたばかりの方がそれを見つけるのは難しいのが現状です。そのため、POKER Q'zで初心者でも学べる環境を作っていきたいと考えています。POKER Q'zはプレーヤーのレベルに応じて順序よく学習できるようになっています。さらに、自分のアクションがGTO的に正しいかどうかを判定し、その理由まで解説する機能が強みです。同じような問題を繰り返し解いて、間違いの解説を読んで改善していくことで、短期間での上達が期待できると考えています。また、学習アプリとしての機能だけでなく、コミュニティの形成にも注力し、ユーザー同士が一緒にプレイしたり教え合ったりできる環境を目指しています。もう一つの課題としては、日本ではキャッシュゲームができないことです。法律上の制約から致し方ない面もありますが、現状のアミューズメントでのトーナメントは参加費が礼金という形になっており、初心者の方がそれを理解していないケースがあります。プレイヤーに還元されモチベーションになって盛り上がるという面で、日本でも将来的に法規制が少しずつ緩和され、キャッシュゲームや海外と同様の規模の賞金トーナメントが開催できるようになることを期待しています。ーー太田さん、本日はインタビューありがとうございました!こちらこそありがとうございました。僕たちの取り組みに興味がある、一緒にサービス開発に携わりたいと感じていただいた方がいましたら、ぜひ下記リンクよりお問い合わせください!

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シュレディンガーのカード―ポーカーを量子の目で眺めてみるとコラム

シュレディンガーのカード―ポーカーを量子の目で眺めてみると

量子力学とポーカー、一見まったく関係ないようなこの組み合わせが、実は結構おもしろいヒントを与えてくれるかもしれません。「量子力学」と聞くと、素粒子や光の二重性、シュレディンガーの猫(「生きている」と「死んでいる」が重なり合う奇妙な状態)など、ちょっと頭がクラクラするような物理理論を思い浮かべる方も多いでしょう。でも、よく考えてみると、ポーカーも量子力学も「確実な答えが観測までわからない」世界を扱っている点で意外と似たところがあるんです。ここでは、そんな不思議な「量子的視点」からポーカーを眺めてみませんか?1. 不確定性を抱えたゲームとしてのポーカーポーカーをプレイしているとき、あなたは自分のハンドと目の前に積まれたチップは知っています。でも、デッキの中に残るカードの正体や、対面のプレイヤーが手にしているカードの組み合わせはわかりません。表向きに見えるコミュニティカード以外は、すべて推測と確率の対象です。たとえば、テキサスホールデムでは、フロップ(最初の3枚)、ターン(4枚目)、リバー(5枚目)のコミュニティカードが徐々に明らかになります。そのたびに、あなたが抱いていた「もしかしたらストレートが完成するかも」といった未来予想や、「あの相手は強いハンドで潜んでいるかも」といった読み筋は、次々に更新されていきます。まだ明らかでないカードは、いわば「重ね合わさった可能性」の塊なのです。量子力学では、電子や光子は観測されるまで「確率の波」のような存在であり、特定の位置や状態に固定されているわけではないと考えられます。ポーカーの世界も「プレイヤーであるあなたにとっては」カードの中身が重ね合わさった未確定状態にある、と解釈することができます。もちろん、実際にはカードは紙片としてそこに存在していますが、あなたの心に浮かぶ世界観では「あらゆるカードがまだ可能性として舞っている」状態です。この感覚は、量子力学が説く「不確定性」をメタファーとして味わうのにぴったりです。2. 相手の反応という「観測」:戦略の波動関数を収縮させる「いつまでも何も確定しない」のが量子世界ですが、観測の瞬間が来れば話は別です。ある量子系を測定すれば、状態は一気に明確な一点へと収束します。ポーカーでは、相手のプレイヤーがフォールドするのか、コールで応じるのか、あるいはレイズで攻撃的に出てくるのか――このアクション自体が一種の「観測」と言えるでしょう。たとえば、あなたが半端な額をベットした際、相手はフォールドで即座に降りてくるかもしれない。そうなれば、あなたの脳内で「相手は強いかもしれない」とか「ブラフかも」という複数の可能性がふわふわ漂っていた状態が、一瞬で「実はあまり強くなかったんだな」という一つの解釈に落ち着きます。量子力学でいうところの「波動関数の収縮」に似た現象が、心象のレベルで起きているわけです。もちろん、ここで重要なのは、ポーカーの世界で起きることはあくまで情報更新であって、量子現象そのものとは違います。ただし、アナロジーとして考えてみると、相手の行動があなたの予想を急激に収縮させ、状況を一気にクリアにする瞬間は、量子測定がもつ不思議な雰囲気になんとなく重なるのです。3. 情報と相関:量子もつれと戦略的ネットワーク量子力学の中でも特に有名なのが「量子もつれ(エンタングルメント)」です。これは、2つの量子状態が、距離を超えて密接につながり、片方を測定するともう片方の状態にも即座に影響するかのように見える現象のことです。実際のポーカーでは、こうした「超遠隔作用」なんて起こりませんし、相手のカードを見る前に自分の戦略変更が即座に相手戦略を変えるなんてことはありません。しかし、「もしポーカーが量子戦略を用いるような世界なら?」と想像すると、こちらが頭の中で戦略を変更した瞬間、その量子戦略が相手側に直結してしまうような不思議な関係性が生まれるかもしれません。これはあくまで空想の話ですが、量子もつれが示すのは「戦略同士が観測前から不思議なつながりを持つ」ようなシナリオです。ところが、今回の記事では現実のポーカーについて考えています。実際には、相手の行動を「観測」した後にこちらが戦略を変えていく話が中心でした。そのため、量子もつれ的な「観測前から相手と直結する関係」をポーカー実践に当てはめるには難しさがあります。言い換えると、リアルなポーカーでは、量子もつれのような直接的な影響関係は起こりえないため、ここは純粋な比喩や理論的拡張の世界にとどまることになります。4. もしポーカーが量子ゲームになったら?実際のカジノで、量子ビット(qubit)を片手にプレイするポーカーは今のところ現実味がありませんが、理論物理学や数理ゲーム理論の世界では、「量子ゲーム理論」という分野が存在します。そこで扱われる「量子ゲーム」では、プレイヤーは量子操作を戦略として用いることが可能で、重ね合わせ状態や量子相関を利用することで、古典的なゲームにはない新たな均衡や戦略パターンが見いだせることがあります。たとえば、非ゼロサム的なゲーム――全体の利得がプレイヤーの行動によって増減し、パレート改善が可能な状況――では、量子戦略の導入によって「全員にとってより良い状態」を安定的に実現できる可能性が指摘されています。囚人のジレンマのような例で、量子戦略は古典的には回避困難だったジレンマ的構造を崩し、より高い合計利得をもたらす場合があるのです。一方で、ポーカーは基本的にゼロサムゲームであり、その利得構造は「勝者の得点=敗者の損失」という関係から動きません。こうした性質のため、量子戦略を導入しても、利得の総和を大きくして全員が得をするような「魔法的改善」は期待しにくいと考えられます。量子操作を使って複数のブラフ状態を重ね合わせたとしても、トータルで得られる利得総和は変わらず、単に複雑な戦略空間を探索する手間が増えるだけ、という可能性もあるのです。とはいえ、「もし戦略が量子レベルでゆらいでいたら?」と想像することは、戦略的思考を広げるトレーニングになります。現実のポーカーテーブルでは役立たないかもしれませんが、この思考実験は確率的な戦略に「もう一段階上の抽象性」を与え、私たちが持つ戦略概念そのものを問い直すきっかけになるでしょう。量子ゲーム理論は、ゲームの本質や戦略の意味について再考させてくれる、理論上の拡張ツールです。ゼロサムであるポーカーでは目に見えた恩恵は限定的かもしれませんが、その発想自体が、私たちの思考回路に新鮮な風を吹き込み、従来の発想ではたどり着けなかった「戦略の可能性」への扉を開くかもしれないのです。5. 量子計算とポーカー解析の未来ポーカーの戦略解析は非常に奥が深く、コンピュータを使ったシミュレーションやGTO(Game Theory Optimal)戦略の探索は今や常識的な手法になりつつあります。しかし、ポーカーは複雑で、不完備情報ゲームとしての難しさは計り知れません。そこで登場するのが「量子計算」という新たな計算パラダイムです。まだまだ実用レベルには課題がありますが、もし将来、大規模な量子コンピュータが当たり前になれば、膨大な戦略空間を一瞬で探索し、近似的な最適解を得るといったことも可能になるかもしれません。量子アルゴリズムが、ポーカーの戦略研究に革命をもたらす日が来れば、私たちが知る「読み合い」や「ブラフ」の意味が大きく変わる可能性もあります。これは「量子力学が直接ポーカーに関わる」というよりは、「量子計算が不確実性下での問題解決力を飛躍的に高める」シナリオの一例です。6. 心理的メタファーとしての量子論量子論は直感に反する学問として知られます。「状態は観測されるまで決まらない」「粒子は波でも粒子でもある」といった妙な言い回しは、物理学初心者を混乱させてやまない要素です。しかし、この「直感には収まりきらない感じ」は、人間が不確実な場面に対処する際のヒントになるかもしれません。ポーカーでも、相手の手札やこれから出てくるカードについては、観測(実際に見る、または相手が行動を起こす)までは確定しません。この事実を踏まえると、「結論に飛びつかず、複数の可能性を同時に保持し続ける」という量子風のマインドセットが有効になることもあります。柔軟な思考で「結果が決まる前にさまざまなシナリオを持ち続ける」姿勢は、量子論を心理的なメタファーとして捉えると、意外としっくりきます。不確実性に圧倒されるのでなく、不確実性を「考え続けるきっかけ」として活用するのです。まとめ:不確実性の海を量子的に泳ぐ量子力学とポーカーは、直接的な関係はないかもしれません。しかし、その「不確定性」と「情報更新」、そして「状況を観測しながら可能性を取捨選択していく」様子を重ね合わせて見ると、意外な共通点が浮かび上がります。量子論は「世界は実は確定していないものだらけ」というメッセージを投げかけ、ポーカーは「限られた情報と不確実性の中で、いかに行動を選ぶか」という問いを突きつけてきます。両者を並べて味わうことで、私たちは常識の外側へと思考を広げ、不確実な状況下での意思決定や戦略立案に、より豊かな創造力や直感的洞察をもたらせるかもしれません。次にテーブルについてカードを握るとき、頭の片隅でシュレディンガーの猫や謎の波動関数を思い浮かべてみてはどうでしょう。不確実性が、ちょっとだけ心地よいスパイスに感じられるかもしれません。

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【メンバーインタビュー③】 ポーカーを学ぶための適切な教材と環境を提供 - 後藤弘コラム

【メンバーインタビュー③】 ポーカーを学ぶための適切な教材と環境を提供 - 後藤弘

こんにちは!CLOViZ株式会社の広報担当です!CLOViZとは一体何なのか、そしてどのようなメンバーが在籍しているのか、それを知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。本noteでは、インタビュー形式でCLOViZのメンバーを紹介していきます。CLOViZの目指すビジョンやバリュー、それぞれのメンバーの役割やスキルセットについて触れながら、チーム全体が持つ力強さや個々の魅力を紹介します。第3弾として、本記事では取締役の後藤さんについてご紹介していきます!1. 短期間で多数の優勝経験ーーまずは簡単に後藤さんのことを教えてください!東京大学の大学院工学系研究科技術経営戦略学所属の後藤弘と申します。先日までTBSの『東大王』という番組にレギュラー出演しておりました。ポーカーに出会ったのは7年前の高校1年生の時でした。その頃はゆるく楽しむ程度だったのですが、約1年半前から本格的に勉強を始め、特に『ミックスゲーム』というジャンルに取り組んでいます。ポーカーの成績としては、現在までに国内のJOPTで4種目、さらに海外のAPTでも1種目、計5種目優勝しています。ポーカーの活動としては、プレイヤー以外にも国内の大会で司会を務めたり、ポーカー講師としてミックスゲームを教えたり、YouTubeチャンネル『ポーカーロワイヤル』にも出演しています。「東大王」出演時の後藤さん~  JOPTについて ~ https://japanopenpoker.com/~ ポーカーロワイヤルについて ~https://www.youtube.com/@PokerRoyale-zs9cq2. 異例の速さで結果を残す秘訣ーーすごい成績ですがちゃんと勉強を始めたのは去年だったんですね!短期間で成果が出た後藤さん目線でこれからポーカーを始めるという人はどのように勉強すれば良いと思いますか?結論から言うと、「適切な教材で学ぶこと」が大切だと思います。僕がポーカーを始めた頃と比べると、教材の種類は明らかに増えていますがその分、信頼性の低い情報や参考にならない情報も多くあります。重要なのは、それらを見分けることです。上手いプレイヤーや信頼できる人の発信を参考にしながら学ぶと良いと思います。 誤った教材で1年間勉強しても全然上手くならないですし、適切な教材であればメキメキと伸びていくはずです。初心者でも「明らかに下手だと思われないライン」には、適切な教材を使えば1ヶ月程度で到達できると思います。最近は歴が1年未満でも非常に上手い人を見かけます。僕自身も2ヶ月くらいの勉強で大会で優勝できるようになり上達を実感しました。今だとそれこそ私たちが開発している「POKER Q’z」というアプリを使って勉強するのが良いと思います。 POKER Q’zの運営メンバーは本質的なところを理解している人がたくさんいて、正しい指針を示してくれるようなサービスという自信はあるので困ったらぜひ頼って欲しいなと思います。もし僕が一からポーカーを始めるなら、間違いなくPOKER Q’zを熱狂的に活用すると思います。3. 後藤さんの感じるポーカーの魅力に迫るーー情報の取捨選択が重要になってくるんですね。 後藤さんにとってポーカーはどこが魅力だと思いますか?ポーカーは麻雀などと比べるとルール覚えるのが簡単で入り口のハードルが低いが、奥が深いのが魅力だと思います。ポーカーのゲーム自体の魅力は、運と実力のバランスが非常に素晴らしいところです。将棋なら初心者がプロに100戦して100敗するでしょうが、ポーカーなら初心者がトッププロと対戦しても10回〜20回ぐらいは勝てると思います。ただし長期的には実力が結果に表れる。一定運の要素もありつつ、長期的に見るとちゃんと強い人が勝つようにできているバランスが多くの人を惹きつける所以かなと思います。また、ポーカーのゲームの性質上、テーブルを複数人で囲んでハンドを降りたらその間考えることはそんなに無いということで、ハンドについて話したり、ポーカーをきっかけに世間話をしたりと、他のプレイヤーとの交流が楽しめるところが魅力的だと思います。4. ポーカーをより日常的にーー確かにプロにも勝てる体験があると次も勝てるんじゃないかと続けたくなっちゃいますね。後藤さんはこれからポーカー業界がどうなって欲しいと思っていますか?日本では法規制の影響でポーカープレイヤーが少なく、海外に比べるとまだまだ規模が小さいのが現状です。一方、アメリカではWSOPのような大規模な大会が開催され、カジノでポーカーが日常的に行われ、テレビでもポーカー番組が放送されるほど人気を集めています。日本でも将来的には法規制が少しずつ緩和され、日本国内でプロリーグが設立されたり、キャッシュゲームやトーナメントも海外と同等の賞金規模で開催できるようになったりテレビで放送されるのが当たり前になる日が来ればと期待しています。そうなれば多くの人が日常的にポーカーを楽しめ、業界全体がさらに活気づくと考えています。5. POKER Q’zの魅力:適切な教材と環境ーーこれからさらに盛り上がっていって欲しいですね! 先ほどPOKER Q’zを開発されているとおっしゃていましたが、魅力について詳しく教えていただけますか?POKER Q’zの魅力は主に2つあります。一つ目は適切な学習カリキュラムで楽しみながら学べるところです。 ポーカーを勉強するという時、本を読んだり計算をするなどして勉強するという意識で勉強すると思いますが、POKER Q’zはポーカーをプレイしているような感覚、遊んでいるような感覚で気づいたら学習になっていたようなサービスになっています。 初心者向けのプレイヤーに必要なことを筋道通りに進めていただく流れになっているので、何から手をつければいいか分からないという方でも学ぶことができます。将来的にはユーザーのプレイデータを収集して、例えば「こういうプレイスタイルの人にはこういうプレイをすると最適ですよ」というのが学べるサービスになる予定です。二つ目は一緒に学ぶ仲間が見つかるところです。 学習は一人だけだとモチベーションが続かないので、お高いにモチベーションを保ちながら、実力を高め合えるような仲間がいればポーカー学習は楽しくなると考えています。何から始めていいんだろう、どこでやったらいいんだろう、海外遠征に行ってみたいけど仲間がいないという状態の時に、POKER Q’zに所属すれば1から勉強でき、一緒にやる仲間が見つかり、全てが完結するのが他のサービスと比べて非常に魅力的だなと思います。将来的には、POKER Q’zに所属している人は熱意もあり、大会で成績を残し、国内でポーカーが強いコミュニティといえばPOKER Q’zだよねというような位置づけになれるといいなと思っています。ーー後藤さん、本日はインタビューありがとうございました!こちらこそありがとうございました。僕たちの取り組みに興味がある、一緒にサービス開発に携わりたいと感じていただいた方がいましたら、ぜひ下記リンクよりお問い合わせください!

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