EDGE POKERをきっかけに考える、POKER Q’zが目指す理想のAIポーカーアプリ
コラム
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EDGE POKERをきっかけに考える、POKER Q’zが目指す理想のAIポーカーアプリ

CLOViZ 広報チーム
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はじめに

私は、ポーカー学習アプリ「POKER Q’z」の開発に携わるエンジニアとして、日々ポーカー×AI領域のプロダクト開発やアルゴリズム設計に取り組んでいます。

ここ数年で国内のポーカーアプリ市場は一気に盛り上がり、EDGE POKER、m HOLD'EM、ポーカーチェイス、EARN POKER、Poker Fate など、スマホで気軽にポーカーを遊べる環境がどんどん増えてきました。プレイヤーとしても開発者としても、とても嬉しい流れだと感じています。

その中でも最近話題になっているのが、ポーカー×AIを前面に打ち出した「EDGE POKER」です。独自のAI「EDGE AI」が搭載している点が特徴的で、実際に触ってみると、「ここはすごい」と感じる部分もあれば、「もう少しこうなれば、さらに面白くなりそうだ」と思う部分もありました。

本記事では、EDGE POKERを一つの事例として、ポーカーアプリが今後どのように進化していけるのか、そしてその中で私たち POKER Q’z が取り組んでいる技術について、開発者の視点から整理していきます。

※本記事は批評目的ではなく、「業界全体がもっと面白くなれば」という思いで書いています。
※EDGE POKERの画面キャプチャについては、利用規約への配慮から掲載を控えています。

気になった箇所①:AIの使われ方

GOD's MOVE

まず、GOD's MOVE(AIが最適アクションを自動選択する機能)についてです。「クリスタル」という課金アイテムを使用することで、この機能がレーティングモードである「ランクゲーム」でも利用できる仕様になっています。すなわちこれは、実質的にプレイヤーの意思決定そのものを補助、あるいは代替している状態です。こうした機能がランクゲームで使えると、プレイ結果が純粋な実力だけで決まらなくなってしまいます。

さらに、ランクゲームにおける課金者優遇(いわゆる Pay to Win)は、GOD's MOVEだけに限りません。連続入賞ボーナスの維持といった、ランクの上下に直接影響する効果も用意されています。

このように、課金によってプレイ上の有利・不利が生まれる設計が存在すると、ランクは「プレイヤーの強さ」ではなく、「どれだけ機能やアイテムを活用したか」を示す指標に近づいてしまいます。結果として、ランク本来の意味や競技としての公平性が薄れてしまうのではないかと感じました。

ポーカーは本来、同じ条件のもとで判断力や戦略を競うゲームです。もちろん、非レーティングモードである「シングルゲーム」のような環境でGOD's MOVEが使えること自体は、学習や体験として非常に良い仕組みだと思います。しかし、少なくともランクゲームにおいては、非Pay-to-Winのスキルベースな設計が前提であるべきだと考えています。AIを活用するのであれば、対局中に代わりに打ってもらうのではなく、その後の振り返りやレビューといった「学習支援」に限定する形の方が、ポーカーというゲームの本質にも合っているのではないでしょうか。

例えば、解説機能はその代表的なアプローチの一つであり、POKER Q’zではこの分野を中核機能として継続的に強化してきました。プレイ内容に応じた解説文を自動生成する仕組みや、プレイ履歴から思考傾向・プレイスタイルを分析し、ユーザーごとに最適化されたフィードバックを提供する技術など、学習効果を高めるための仕組みを開発しています。これらの技術は当社独自のコア技術であり、現在特許出願中です。

POKER Q'zアプリの解説文1

POKER Q'zアプリの解説文2


BUDDY AI

もう一点気になったのが、BUDDY AI(自分のプレイを模倣するAI)についてです。ユーザーのプレイ傾向を学習し、代わりに打ってくれるというコンセプト自体は、技術的にはとても面白い取り組みだと思います。ただ、体験として考えると少し疑問も残りました。

ポーカーは本質的に、自分で悩み、考え、選択すること自体が楽しいゲームです。だからこそ、「自分の代わりにAIがプレーする」のを眺めるよりも、
自分で打ちながら上達していくプロセスのほうが、ゲーム体験としては価値が高いのではないかと感じました。

ユーザーのプレイデータにAIを活用するのであれば、

  • 自分のプレイ傾向を自動で分析してくれる
  • 自分の弱点を指摘してくれる
  • 「ここはこうアクションすると良い」と自然言語で解説してくれる

といった コーチ・解説役としてのAI の方が、学習や成長という観点では相性が良いように思いました。

気になった箇所②:AIの性能

EDGE POKERは、ポーカー×AIを強みとして打ち出しているタイトルだからこそ、AIの精度や一貫性についても自然と期待値が高まります。実際にプレイしてみると便利な機能も多い一方で、学習ツールとして見ると「これは少し危険かもしれない」と感じる挙動もいくつか見受けられました。

特に気になったのは、以下の3点です。

プレイ中のアドバイスと振り返り結果の不一致

プレイ中にAIが「おすすめアクション」として提示してきた選択肢と、対局後の振り返り(レビュー)で表示される「最善アクション」が異なるケースがありました。同じ局面であるにもかかわらず結論が変わってしまうと、

  • ユーザーがどちらを信じればいいのか分からない
  • 学習の軸がブレてしまう
  • 「AIは本当に正しいのか?」という不信感が生まれる

といった問題が起きてしまいます。学習支援AIにとって一貫性は非常に重要です。リアルタイムとレビューで評価ロジックが異なると、教材としての信頼性が大きく下がってしまうと感じました。


明らかに不自然なアクションの推奨

一部のスポットでは、明らかに理論とかけ離れたアクションが推奨されるケースも見られました。例えば、「完成したストレートをフォールドすることが推奨」と表示されるなど、実戦上ほぼあり得ない判断が提示される場面がありました。

こうしたミスは単なる最適化のズレではなく、プレイヤーの理解を誤った方向に導いてしまう可能性があるという点で、学習ツールとしてはかなり致命的です。ポーカーAIにおいては、「強い」以前に 「明確に間違えない」ことの方が重要だと感じました。最低限の戦略整合性が担保されていないと、ユーザーは安心してAIを参考にできません。


レンジ解析・ハンド分類のロジックの不明瞭さ

レンジ解析機能についても、表示ロジックにいくつか違和感がありました。そもそもレンジ全体の戦略が俯瞰できる形にはなっておらず、提示される情報も断片的です。加えて、

  • 強・中・弱の基準が不明確
  • ハンドの性質に基づくクラスタリングになっていない

といった点が気になりました。例えば、ガットショット+フラッシュドローのような実戦上かなり強いドローハンドが、ボードのペアを優先して「ワンペア」と表示されるなど、実戦感覚と明らかにズレた分類も見受けられました。

レンジ可視化は、単に「それっぽく分類する」ための機能ではなく、プレイヤーの意思決定に直結する重要な情報設計です。ここが直感や実戦感覚と噛み合っていないと、表示そのものへの信頼が失われ、せっかくの分析機能も活用されなくなってしまいます。ポーカーにおいてレンジを考えることは学習体験の核となる領域です。だからこそ、分類ロジックの明確さと、実戦に即した整合性が強く求められると感じました。

EDGE AIについての考察

EDGE AIは、プレイ中に最適アクションを提示したり、自動で判断を行ったりと、「AIがポーカーを解く」体験を前面に押し出した設計になっています。

参考記事
https://note.com/edge_poker/n/n97dbb01b7cd8

公式記事の説明と実際の挙動を照らし合わせてみると、

  • CFRアルゴリズムなどで求めたGTO戦略を教師データとして学習したモデルを使用
  • その場のシチュエーションからルールベースで特徴量を抽出して入力
  • モデルに抽出した特徴量を与え、各アクションのEVを予測し、最もEVが高いアクションを選択する

といった、機械学習ベースの近似ソルバー型モデルに近い構成なのではないかと推測されます。

アプローチとしては非常に王道で、技術的にも興味深い取り組みだと感じました。一方で、実際にプレイしてみると、ポーカーAI特有の難しさも同時に感じられました。ここでは、特に気になったポイントをいくつか整理してみます。


学習シチュエーションが圧倒的に足りていない

まず感じたのが、学習シチュエーションの不足です。ポーカーは、ほんの少し条件が変わるだけで最適戦略が大きく変化するゲームです。ポジション、スタックの深さ、ベットサイズ、ボードテクスチャ、ICM状況など、考慮すべき要素は非常に多く、状態空間はほぼ無限に近い広さになります。そのため、「すべての状況を十分に学習させる」こと自体が極めて難しい問題になります。

学習がカバーできていない領域に入った瞬間、モデルの精度はどうしても不安定になりやすくなります。これはアルゴリズムの善し悪しというよりも、「そもそもポーカーは学習データが圧倒的に不足しやすいゲームである」という構造的な難しさに起因する問題だと感じました。


特徴量設計が実戦と噛み合っていない

もうひとつ重要だと感じたのが、入力となる特徴量の設計です。

挙動を見る限り、卓全体のスタック状況、現在の手役(ハイカード、ワンペアなど)、ドローの有無といった基本情報は利用されているように見受けられました。ただ、実戦のポーカーでは、それだけでは十分とは言えません。

実際には、

  • ハンドの将来的な発展性を含めた強さ評価
  • アクション履歴によるレンジの絞り込み
  • ブロッカー効果
  • 適正ディフェンス頻度
  • ICM

など、多くの文脈情報が意思決定に強く影響します。

ポーカーAIにおいて、特徴量設計は「戦略理解の解像度」そのものだと考えています。ここが粗いままだと、どれだけ学習を重ねても、実戦感覚に近い判断を再現することは難しくなってしまいます。


ポーカーAIは「エンジニアリング力」だけでは作れない

今回実際に触れてみて、個人的に最も強く感じたのがこの点です。ポーカーAIの開発は、単なる機械学習やモデル精度の問題ではなく、設計段階で考えるべきポイントが数多くあると感じました。

  • 何を特徴量として持たせるのか
  • どの情報が意思決定に本質的なのか
  • どこまで抽象化すれば戦略として表現できるのか

こうした問いは、ポーカーというゲームそのものを深く理解していなければ適切に判断できません。つまり、求められるのはアルゴリズムの実装力だけでなく、実戦レベルのポーカー理解です。この二つが揃ってはじめて、実用的なポーカーAIが成立すると考えています。

そしてPOKER Q’zには、エンジニアとプレイヤーの両方の視点を持つメンバーが多く在籍しています。だからこそ、学習体験に直結したプロダクト開発が実現できているのだと感じています。

POKER Q’zの理念

私たちPOKER Q’zがどんな思想でプロダクトを作っているのか、ここで少しだけお話しさせてください。私たちが目指しているのは、AIを活用して、最高のポーカー学習体験を提供することです。

単に「遊べるポーカーアプリ」を作るのではなく、プレイするだけで自然と強くなっていく――そんなプロダクトを本気で実現したいと考えています。ポーカーは本来、非常に奥深く、戦略的で、知的な面白さに満ちたゲームです。一方で、上達のハードルが高いのも事実です。

  • 何が正解なのか分からない
  • なぜ負けたのか分からない
  • どこを改善すればいいのか分からない

こうした漠然とした「分からなさ」が、学習の最大の壁になっています。

だからこそ私たちは、ユーザーにできるだけ効率よく実力を伸ばしてもらうことを最優先に設計しています。同時に、「勉強している感覚」ではなく、楽しみながらプレイしているうちに、気づけば上達している。そんな自然で前向きな学習体験を届けたいと考えています。

ポーカーが「難しいゲーム」ではなく、「遊んでいたらいつの間にか強くなっていたゲーム」になること。それが、私たちPOKER Q’zの目指している理想の形です。

学習体験を支える戦略の正確性

その前提として、最も重要なのが「戦略の正確性」です。私たちは現在、AI/アルゴリズムの開発を進めながら、任意の局面で可能な限り理論的に正しい戦略を提示できる基盤づくりに取り組んでいます。どれだけ分かりやすい解説があっても、土台となる戦略が正しくなければ意味がありません。まずは「信頼できる答えを出せること」が、学習プロダクトとしての最低条件だと考えています。

コーチとしてのAIと、自然言語による解説

そしてもう一つ重要だと考えているのが、「どう伝えるか」という体験設計です。単に正しい戦略を提示するだけでは、プレイヤーは本当の意味で強くなれません。なぜそのアクションが良いのか、どのような思考プロセスに基づいているのかを理解してこそ、学習として身につくものになります。

そのため私たちは、AIを「代わりにプレーする存在」ではなく、プレイヤーの思考を支えるコーチとして活用することを重視しています。数値や専門用語を並べるのではなく、初心者でも直感的に理解できる言葉で説明すること。「何が起きたか」だけでなく「なぜそうなるのか」まで伝えること。生成AIや自然言語技術を活用しながら、「考え方まで身につく解説体験」を実現することを目指しています。

実際にアプリ内には、戦略やプレイについて自由に質問できるAIアシスタントを搭載しており、学習をサポートする機能として多くのユーザーの方からご好評をいただいています。現在も、より精度の高い回答や、初心者にも分かりやすい解説を提供できるよう、継続的な改善を重ねています。さらに、各レッスンテーマに紐付いた解説付きのエクササイズも用意しており、知識をインプットするだけでなく、クイズ形式で実践しながら理解を深められる構成にしています。

私たちはAIによって「答えを教える」のではなく、「強くなる思考プロセスを身につけられる学習体験」の実現を目指しています。

アプリ内AIエージェントの出力例
アプリ内のエクササイズ問題例

アプリ内のエクササイズ解説例

最後に

私たちは、日本と、世界中のポーカー業界がより盛り上がっていければと考えています。まだまだ未熟な私たちですが、本気でポーカー界を盛り上げていくパートナーを探しています。

  • 協業いただける企業様・パートナー様
  • 協力いただけるインフルエンサー様

はもちろん、POKER Q’zのメンバーとして

  • 事業開発(国内・海外マーケティング、クリエイティブ制作など)
  • エンジニア
  • AI/アルゴリズム研究

に参画してくれる方も大募集中(インターン含む)です。

「ポーカーをもっと面白くできるはず」「AIでもっと良い体験を作れるはず」

そんなテーマに少しでもワクワクした方がいれば、ぜひ気軽にご連絡ください!
一緒に、日本のポーカー界をもっと面白くしていきましょう!

サクッと本格学習!
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会社概要

名称    : CLOViZ株式会社

所在地   : 東京都世田谷区赤堤4丁目13番7号

設立    : 2024年5月7日

代表取締役 : 真崎 颯太郎

URL: https://cloviz.co.jp